
急性肝炎
【経過】20代女性。1週間続く嘔気・腹満感と、数日前からの発熱にて当院を受診されました。眼球結膜に黄染は認めませんでした。エコー検査では、肝臓に異常を認めませんでしたが、脾腫を認めました。血液検査で肝機能障害(AST/ALT 127/161)を認めたことから、急性肝炎と診断し、大学病院に紹介しました。精査の結果、サイトメガロウイルスによる急性肝炎と診断がつき、自然治癒を待つことになりました。
【学んだこと】年間20万人が発症している急性肝炎ですが、私自身が開業医として診察したのは今回が2度目でした。急性肝炎の初期は胃腸症状が主で、黄疸や全身倦怠感といった肝臓特有の症状に乏しいので、意外に診断が難しいです。ちなみに、当院で経験した最初の急性肝炎の患者さんは劇症肝炎に移行し、肝移植にて救命されています(肝炎の原因は不明)。その経験があったので、ためらわずに、大学病院にお願いしたわけです。
急性肝炎は、A型肝炎ウイルス(生牡蠣の摂取など)、B型肝炎ウイルス(HBe抗原陽性者との性行為など)、C型肝炎ウイルス(医療従事者の針刺し事故、覚せい剤の回し打ちなど)が大半を占めますが、まれに、EBウイルス(伝染性単核症)やサイトメガロウイルスなどによる肝炎も報告されています。
今回、急性肝炎を強く疑った根拠の一つに『脾腫』があります。脾臓が大きくなる病気は、肝硬変、伝染性単核症、白血病、悪性リンパ腫、溶血性貧血、などいろいろありますが、急性肝炎も脾腫を来します。脾腫は重篤な疾患が原因の場合もありますので、注意が必要です。
