遊走腎

遊走腎

立位になった時に腎臓が大幅に下垂する現象を遊走腎と言います。遊走腎の主な症状は、立位での側腹部から腰部にかけての鈍痛です。血尿や水腎症を来すこともあります。

40代女性
寝ている時は何ともないが、立った時に、右下腹部に硬いものを触れるとのこと。痛みや血尿はありません。立位で患部を触診すると、確かに平坦でスムーズな硬いものを触れます。それが何なのかを超音波検査(エコー)で観ることにしました。患者さんに隣の超音波装置のある診察室に移動してもらいました。看護師さんが患者さんを検査台に寝かせ、部屋の明かりを消したら、私もそちらに移動します。暗くなった診察室に入っていくと、患者さんが坐って待っていてくれました。坐っていることを予想していなかったので、一瞬「えっ?」と思いますたが、直ぐに「なるほど」と感心しました。看護師さんが機転を利かせて、患者さんを寝かせないで坐らせていたのです。坐った姿勢で、患部にエコーをあてるとまさに腎臓でした。その状態から仰臥位になってもらうと、腎臓は、通常の背中側に戻っていくことが確認出来ました。症状もないので、このまま経過をみることにしました。

遊走腎は立位になると、腎臓が腸腰筋の前面に沿って下方に下垂するとともに前方にも移動するために、下腹部で触れるわけです。立位で水腎症を呈する場合や下垂による激しい痛みを訴える場合は、腎臓が下垂しないように固定術がおこなわれます。

今回は、看護師さんの機転に感謝でした。