理学所見を信じて良かった。

卵巣嚢腫に感染を合併したようです。診察の情報(理学所見)と検査結果が一致しなかった場合、それをどう判断するか思案のしどころです。
40代女性
潰瘍性大腸炎で定期的に通院中でしたが、最近は、病状は落ち着いていました。数日前から急にお腹が痛くなったため来院されました。発熱なし。嘔吐、下痢、便秘、下血、等の消化器症状はありません。お腹のグル音は正常でした。ガスや腹水が貯まっていないか、お腹を「トントン」と打診すると、おヘソの周辺を中心にすごく痛みを訴えられました。何か強い炎症がありそうです。血液検査で、当然、白血球が増えていると思いきや、まったくの正常でした(左方移動も無し)。症状や痛みの場所からは潰瘍性大腸炎の悪化ではなさそうです。『下痢の無い腹痛は要注意!』という私自身の鉄則に則り、血液検査で異常が無いことが気にはなったのですが、大学病院で診てもらうことにしました。大学病院のCT検査卵巣嚢腫の膿瘍(感染)と診断がつき、婦人科で治療が始められました。

膿瘍(感染)が卵巣内に限局されていたために、血液検査に反映されなかったと思います。血液検査の結果よりも理学所見を信じて良かったです。

仮に、今回と逆の場合はどうなるか想像してみました。つまり、理学所見に異常は無いけれども、血液検査はすごく悪かった場合です。この時は、迷わず、精密検査を進めていくでしょう。結局、理学所見と血液検査がかい離していた場合は、悪い結果の方を優先しているわけです。

理学所見が内科診断学に欠かすことの出来ない重要なものである以上、将来、内科医の仕事がAIに取って代わられることは無いと思います。

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