よもやま話（15） 「遠方より友来る。」
私はいくつかの病院で勤務し、現在開業いています。転勤に際して、外来に来て下さっている患者さんを後任の先生に引き継ぎをします。しかし、私の次の勤務先に通院先を変えられる方もいらっしゃいました。有り難いことです。
私の勤務先を追いかけて20年以上も通院して下っていた方がいらっしゃいました。20年前といえば、私はまだ30歳で、知識も技術も経験も何もかも足りない若造でした。そればかりか、きっと、かなり生意気だったと思います。それから、20年間、私に辛抱強く付き合って頂き、感謝の念に耐えません。
80歳を超えておられるご高齢の方で、バスと電車を乗り継いで隣町から通って頂いている方もおられます。
東北地方の病院からこちらの病院に転勤した時のことです。こちらに赴任して落ち着いた頃、遠くの東北からはるばる福岡の病院まで訪ねて来て下さった患者さんがおられました。びっくりしました。当時、すでに定年退職されて何年も経っておられましたから、簡単な旅行ではなかったと思います。さらに、その病院は決して交通の便が良いとはいえない場所にありましたから、探すのも一苦労だったと思います。そんな素振りも見せず、「九州に遊びに来たついでに病院に立ち寄った。」と説明されました。病院の外来で立ち話をして別れましたが、今思えば、もっとねぎらいの方法があったはずと後悔しています。