胆 の う


胆のうの病気

「臥薪嘗胆(がしんしょうたん)」ということわざがあります。悔しい気持ちを忘れないように苦い胆汁をなめて再起を誓う。
このように、胆のうに充満している胆汁は、とても苦いことが太古の昔から知られていました。
知っておかなければならない胆のうの病気をいくつかご紹介しましょう。

1.胆石症

胆のうの結石には種類があります。中年以降の女性に多い胆石ですが、その60%はコレステロール結石です。これは、コレステロールが肝臓から排出される生理機能に深く関係しています。コレステロールの取り過ぎで、胆汁中のコレステロールが溶け切れなくなったものが結晶析出としてコレステロール結石になるわけです。ちょうど、コーヒーに砂糖を入れ過ぎて、溶け切れない砂糖がコーヒーカップの底に溜っているのと似ています。「3F」といって、Female(女性)、Forty(40歳代)、Fatty(太っている)の3条件は胆石保有の確率の高い条件です。
胆のうは胃のすぐ隣にあります。ですから、「胃が痛い」といって来院される方が多いのも特徴です。ただし、「右の肩甲骨辺りも痛む」という症状がさらに決め手となります。また「○時○分から痛くなった!」というような痛み方をした場合は、胆石が原因であることが多いです。
診断は腹部エコー検査をすれば一目瞭然です。簡単な検査ですので、すぐに終わります。出来れば、朝食を抜いて来た方が、胆のうは良く観察できます。
胆石の治療は、胆のうごと取ってしまう手術が、一般的に勧められます。現在は「腹腔鏡手術」で行われるため、ほとんど、跡も残りません。
飲み薬で溶けて消えてしまうことがあります。その条件は、
① 石は2cm以下で、3個まで。
② 100%コレステロール結石であること(カルシウム成分がない)
③ 慢性胆のう炎がないこと
これらの厳しい条件の元、2年間薬を飲んで頂いて、胆石が消える確率は20%程度です。特に症状のない方は試してみる価値があると思います。

 

 

Boston Scientific さんより
最後に、胆石は小さいから大丈夫、大きいから心配。というわけではありません。むしろ、小さな結石は、胆のうから、総胆管に落ちて、すい臓の出口で詰まったりします。そうすると、「急性膵炎」を併発しますので、病態が複雑になり、治療にかかる時間も長くなります。
胆石が出来てしまったら、胆石発作を誘発しないように、過食や高脂肪食を避けなければいけません。結婚式の披露宴でご馳走を食べた直後に病院に駆け込む方が結構見受けられますので、くれぐれもご注意ください。

 

 

 

 

 

 

 

2. 胆のうポリープ

検診や人間ドックなどで偶然発見されることが多い胆のうポリープですが、大ざっぱにくくりますと、1cm以下なら心配はありません。
1cmから1.5cmで10%程度が悪性の可能性があります。それ以上の大きさなら早めの手術が必要です。
もちろん、大きさだけではなく、ポリープの形やエコー検査での写り方、胆のうのどこにあるかなど、詳細な検討が必要ですが、2,3mmの小さなポリープならば、年に1回のエコー検査で十分安全に経過をみることが出来ます。
ただし、胆のうポリープががん化した場合、がんが胆のうの表面に顔を出すと、あっという間にお腹全体に広がってしまいます。
がんが胆のう内に留まっていれば、胆のう摘出術のみで助かります。ご注意ください。