アカラシアとPOEM(ポエム)

アカラシアとは下部食道噴門部(胃の入り口)が緩みにくくなることで、食物の通過障害を来たす病気です。先日、健診の胃カメラで食道の通過障害を認め、アカラシアの可能性を指摘された方が来院されました。当院でのアカラシアの患者さんは2人目です。
40代男性】                                                  以前から、食べ物を飲み込みにくく、食事に時間がかかっていたとのこと。健診の胃カメラで食道から胃に入るところが進みにくいことを指摘されました。BMIは21.3とやややせ型でした。健診医の指摘どおりアララシアであろうと判断しましたが、問題は治療をどうするかです。前回のアカラシアの患者さんは、当院から産業医大を紹介し、さらに長崎大学病院に転院し、根治手術「経口内視鏡的食道筋層切開術(POEM)」が施行されています。今回は、インターネットでPOEMをやっている病院を探し、沢山の手術例を報告している福岡大学病院で診てもらうことにしました。後日、福岡大学病院からPOEMが無事終了した旨の報告を頂きました。                        カメラを粘膜下層に入れ(左)、さらに筋層を切開します(右)。

POEMは2008年、世界に先駆けて日本で開発された手術方法です。全身麻酔下で胃カメラをおこない、食道粘膜を切開し、食道粘膜下層にトンネルをつくります。さらに、粘膜下層にトンネルを作り、筋層を切開します。その結果、食道と胃のつなぎ目が広がります。最後に、カメラが入っていた粘膜をクリップで閉じて終了です(さし絵参照)。

現時点で、POEMをおこなっている九州の医療機関は、福岡大学、長崎大学、沖縄の民間病院の3か所のようです。アカラシアは10万人に1人程度のまれな病気なので、治療施設を限定し、患者さんを集約させるようになっているのだと思います。日本消化器内視鏡学会でも、POEMのガイドラインを作成した上で、しっかりトレーニングを受けたPOEM専門医を育てるようにしています。

【おまけ】内視鏡の操作において、食道は本当に難しい臓器です。まず、食道には漿膜がありません(サランラップに包まれていない果物のイメージです)。ですから、わずかな内視鏡操作の力加減で簡単に穿孔してしまいます。次に視野の問題です。食道内腔は狭く、しかも、常に「はす」にしか観察出来ないのです。決して、正面視出来ない場所です。加えて、心臓に隣接している臓器ですので、常に拍動に同調して動いています。POEMをシェーマにすると簡単そうに見えますが、実際には、たいへん高度な内視鏡技術が必要であると想像します。

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