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中野胃腸クリニックBLOG » 未分類

Archive for the ‘未分類’ Category

新年、明けましておめでとうございます。

土曜日, 1 月 1st, 2022

今年は寅年です。旧年中は当院をご利用いただき、ありがとうございました。
本年もよろしくお願いいたします。
コロナウイルス感染症が全世界に感染拡大して、3年目を迎えました。
何とか、今年中には終息してもらいたいものです。
日々、気を付けてお過ごしください。

令和4年 元旦 中野胃腸クリニック 中野重一

「開院10周年記念シーズン4」❻すい臓がん

日曜日, 10 月 6th, 2019

今回のシリーズはある疾患について、当院の症例を集計して、その結果を検討したブログを特集しています。良かったら、読んでみてください。(2019年作成)

緑色がすい臓です。重さわずか120gです。最近、週間に名のすい臓がんが見つかりました。普段は、年間に名いるかいないか程度なので、とても驚きました。そこで、開院以来10年間の当院のすい臓がん患者さんを調べてみました。

すい臓がん患者さんの総数は11名でした。男性名、女性名です。年令は、39才から85才迄で、平均年令は66才でした。すい臓がんのリスクファクターとして、膵炎の既往、糖尿病、肥満、喫煙、大量飲酒、高脂血症、などが指摘されています。これら11名の中には、アルコール性膵炎の既往のある方が名、MBIが30以上の高度肥満の方が名いらっしゃいましたが、そのほかの方は、これといったリスクファクターが見当たりませんでした。
全員腹部造影CT検査で確定診断がついています。進行度は全員ステージⅣで、腫瘍径が2cm以下の「小膵癌」の方はいらっしゃいませんでした。手術が可能な方はひとりもおらず、かなり病気が進行した時点で見つかったわけです。

最近のすい臓がんの本邦死亡者数は年間千人であり、10年前に比べると約万人も増加しています。10年間で1.5倍に増えたわけです。国立がんセンターの先生は、増えた要因は、①長生きする人が増えたから、②造影CT検査の精度が上がったからと解説されています(ドクターサロン2019月号)。しかし、この10年間に、高齢者が1.5倍も増えたでしょうか? この10年間でCT装置に画期的な進歩があったでしょうか? 答えはいずれも「いいえ」です。

九州がんセンターの先生が興味ある取り組みをされています。早期のすい臓がんを見つけるために、造影CT検査とMRI(MRCP)を両方おこなう人間ドックを始めたのです。しかし、年間やってみて、名もすい臓がんを見つけることが出来ませんでした。その要因として、ハイリスクグループの方がほとんど受診せず、健康志向の高い方の受診が多かったためではないかと考察されています。医師の思い通りには対象者が集まってくれなかったわけです。

一般的に、すい臓がんは発がんから発症まで長い年月を要すると考えられています。しかし、当院で経験した患者さんの中に、すい臓がんと診断されるか月前に腹部造影CT検査を受けていた方がおられます。その時点では、まったくすい臓に異常は無かったのです(念のために、放射線科医に再度確認してもらいました)。発がんから発症、そして進行までの時間経過はまだ詳細にはわかっていません。

ピロリ菌と胃がん、
便潜血検査と大腸がん、
B型肝炎・C型肝炎と肝臓がん、
といった具合に、絶対的なリスクファクターがすい臓がんでは見つかっていないのが現状です。

【あとがき】まとまった数の症例を検討するためには、まず、カルテに病名やデータを正確に記録しておくことが必要です。日々の診療を丁寧におこなっていなければ、データが不揃いになり、検討することが出来ません。これからも、臨床研究をやるつもりで、診療に向かいたいと思います。

『開院10周年記念シーズン4』は今回で終了いたします。ご愛読有り難うございました。

「開院10周年記念シーズン4」❺ 微小胃がん

土曜日, 10 月 5th, 2019

今回のシリーズはある疾患について、当院の症例を集計して、その結果を検討したブログを特集しています。良かったら、読んでみてください。(2018年作成)

5mm以下の胃がんは微小胃がんとして取胃はこんな感じです。り扱います。 当院では、過去に微小胃がんの方が名見つかっています。

微小胃がんには、特に特徴は無く、発赤、びらん、わずかな凹凸や色調の変化など、通常の胃炎のような粘膜変化を来しています。微小胃がんの半数は「内視鏡的には悪性と診断出来ない、むしろ良性にみえる」と報告されています。ですから、微小胃がんの診断は、『念のために』生検して初めてわかることが多いのです。

当院で診断した名の微小胃がんも、小さなびらんでした。ただ、名は単発だったのです。びらんが沢山あれば、「びらん性胃炎」ということになりますが、個しかないというのは不自然です。当院ではびらんが個だけの時は生検するように心掛けています。
びらんが複数個あっても微小胃がんが存在していた方も名おられました。この方になぜ生検したかというと、「なんか嫌な感じがするびらん」だったからです。実に、感覚的なものでした。
当院では、自然に出血しているびらんは、必ず生検しています。がんは出血しやすいからです。
びらんの形が星形のような不整形である場合も生検の対象です。

【問題点】
内視鏡治療をするために、再度胃カメラをおこなった際に、正確にその病変が確認できないことがあります。例えば、「胃体中部後壁のびらん」といっても胃体中部そのものが漠然とした領域です。また、管腔臓器ですので、その日の状況で随分胃の形が違うこともあります。生検の跡が消えてしまわないうちに治療しないと、分からなくなってしまうことがあります。現在は、内視鏡写真でしか伝える方法が無いのです。
生検で胃がんが全部取り切れてしまうこともあります。いわゆる「ひと掻きがん」です。この場合、せっかく内視鏡治療をしても切除標本にがんが存在しない。という事態がおこります。

小さな胃がんを見つけることで、胃がんの治療成績や予後はさらに良くなります。しかし、病変が小さいが故に、その取扱いには細心の注意が必要です。

「開院10周年記念シーズン4」❹原発性アルドステロン症

金曜日, 10 月 4th, 2019

今回のシリーズはある疾患について、当院の症例を集計して、その結果を検討したブログを特集しています。良かったら、読んでみてください。(2018年作成)

高血圧症の5%程度に存在すると言われている「原発性アルドステロン症」。この病気の可能性のある患者さんが5名いらっしゃいました。

症例     アルドステロン      レニン    アルドステロン・レニン比
❶ 30代女性    291.9       0.9         324
❷ 50代男性    142.4       0.5        285
❸ 40代男性    121.8       0.6        203
④ 40代男性    155.2       0.7        221
❺ 30代男性    158.4       0.7        226
*原発性アルドステロン症のスクリーニング判定基準は、アルドステロンが120(pg/mL)以上かつアルドステロン・レニン比が200以上です。
レニン・アルドステロン系

この5人の方は皆さん大学病院で詳しく診て頂きました。その結果、原発性アルドステロン症と診断された方は、④番の方のみでした。ただし、④番の方も、副腎静脈採血が完全には遂行できなかったため腫瘍が見つけられず、降圧剤の内服治療となっています。

原発性アルドステロン症を早期に診断すれば、腫瘍を摘出することによって血圧は正常化し、降圧剤を飲み続ける必要が無くなります。早く発見すれば、高血圧症による障害も回避出来ます。ただし、アルドステロンを産生する副腎腫瘍は小さいため(1mm大のこともあります)、見つけにくいのです。

これからも、比較的若い方や急に血圧が上がった方などには積極的にレニン・アルドステロンを測定していこうと思います。

「開院10周年記念シーズン4」❸3次除菌

木曜日, 10 月 3rd, 2019

今回のシリーズはある疾患について、当院の症例を集計して、その結果を検討したブログを特集しています。良かったら、読んでみてください。(2017年作成)

e883832018胃潰瘍や胃がんの大きな要因であるピロリ菌感染ですが、除菌治療によってそれらを予防することが可能です。1次除菌の成功率は90%程度です。もし、不成功であれば、2次除菌を受けます。2次除菌の成功率も90%程度なので、99%の方が除菌することが出来ます

【3次除菌】
なかには、1次除菌も2次除菌も不成功だった方もいらっしゃいます。当院ではこの方々に3次除菌をお勧めしています。3次除菌は保険診療ではないので(全額自費)受ける方は少ないです。開院以来8年間で3次除菌を受けた方は、6名でした。うち2名は未だ判定にみえていません。残りの4名は全員除菌出来ています。皆さん、粘り強く、3次除菌まで付き合ってくださいました。その忍耐力に敬意を表します。

【ペニシリンアレルギー】
1次除菌も2次除菌も抗生物質のペニシリンが入っています。ですから、ペニシリンにアレルギーのある方は使えません。そこで、当院ではペニシリンを用いない除菌療法も提供しています(保険外診療ですので、全額自費です)。開院以来8年間でこの除菌治療を受けた方は、6名でした。そして、6名全員が除菌に成功しています。諦めないで良かったですね。

*先日、開院8周年を迎えました。8年間の診療の証しになるようなものを考えていました。そこで、除菌治療のことを調べてみました。3次除菌を受けた方の100倍以上の方が、1次除菌か2次除菌を受けているわけです。そう考えると、この『3次除菌6名』は私にとって大事な数字です。

「開院10周年記念 シーズン4」❷赤痢アメーバ

水曜日, 10 月 2nd, 2019

今回のシリーズはある疾患について、当院の症例を集計して、その結果を検討したブログを特集しています。良かったら、読んでみてください。(2016年作成)

実は危険な食材かも。赤痢アメーバ症は嚢子(シスト、卵に相当する)が口から侵入し、大腸粘膜で成虫(栄養型)になり、出血や潰瘍を伴った腸炎を来す病気です。
平成27年に当院でも1名確定診断が付きました。幸い、薬(フラジール)の内服で、完治しました。

当院では過去6名(6年間)の赤痢アメーバ症の患者さんが確認されました。
【男女比】男性:女性=6:0(全国集計でも9:1とやはり男性に多い)
【年齢】34歳~56歳(妻帯者2名、あとの4名は未確認)
【海外渡航歴】有(1名、中国)、無(5名)
【主訴】下血(3名)、健診で便潜血陽性(3名)
【病変の部位】直腸(4名)、盲腸(2名)

診断に関しては、大腸カメラが有用で、いわゆる「汚い」潰瘍やびらんが盲腸か直腸に認められれば、診断は容易です。10日間程度、薬を飲めば完治しますので、今のところ、大きな問題にはなっていません。

① 1990年代には年間100~200人程度だったのが、現在では年間1,000人以上の届け出があります。症状の無い保菌者はこの10倍いると考えられています。
② 東南アジアなどに渡航歴のある方や同性愛者(ゲイ)に多い病気とされていますが、実際は、どちらにも当てはまらない人が多いのが現状です。

この30年間で東南アジアへの旅行者はそんなに増えたでしょうか? 同性愛者(ゲイ)がそんなに増えたのでしょうか? 答えはいずれも「No」です。
圧倒的に男性に多いのは何故なのでしょうか?

赤痢アメーバの嚢子は野菜や果物に付着しています。特に、人糞を肥料として使っているとそのリスクは高くなります。嚢子は熱に弱いのですが、水洗いぐらいでは取れません。 (*東南アジアでは肥料に人糞を使うことがあります。)

【ここからは私見です】
日本でこの30年間で大幅に増えたモノ。そのひとつに『コンビニ』『ファミレス』があると思います。コンビニやファミレスのサラダ(カット野菜)は、何処で生産されたものなのでしょうか? サラダは水洗いだけで、熱処理は出来ないはずです。消毒水に浸すことで、細菌は殺せても、赤痢アメーバの嚢子は死にません。男性は、女性と違って、スーパーで産地を確認した野菜を買ってきて、家でサラダを作ることは滅多にしないでしょう?

【対策】
コンビニやファミレスでは熱処理してある(焼いたり茹でた)野菜を選ぶ。

【将来の不安】
現時点では、赤痢アメーバ症は抗生物質(フラジール)で完治します。しかし、フラジールが効かない報告も出てきています。将来的には、フラジールが効かないタイプが多くなる可能性があります。赤痢アメーバ症は決して、特殊な人の病気ではなく、身近な病気だと思います。

「開院10周年記念シーズン4」❶偽膜性腸炎

火曜日, 10 月 1st, 2019

今回のシリーズはある疾患について、当院の症例を集計して、その結果を検討したブログを特集しています。良かったら、読んでみてください。(2015年作成)

雪が降る~。理由の如何を問わず、抗生物質の投与を受けると、腸内細菌のバランスが崩れます。運悪く、菌交代現象により異常に増殖したクロストリジウム・ディフィシル菌が産生する毒素(CDトキシン)により大腸粘膜が炎症を来し、腸炎が発症することがあります。ひどい場合は、大腸粘膜に白色の丸い斑点が散在している様子を大腸カメラで観察できます。この斑点が「偽膜」と呼ばれるものです。大腸の中に、雪が降ったような感じになります。
抗生物質投与中ないしは投与後に発症しますので、病歴を聞けば、大体、予想はつきます。

開院以来6年間で5名の「偽膜性腸炎」の方がいらっしゃいました(案外、少ない印象です)。その方々について、まとめてみました。
1. 年齢 43歳~76歳 (平均年齢60歳)
比較的高齢の方に多い傾向があります。

2. 大腸カメラで「偽膜」を確認出来た方が4名います。
偽膜は直腸~S状結腸に多いので、内視鏡を挿入すると、直ぐに診断がつきます。言い換えると、内視鏡をしないと、確定診断が難しい病気かもしれません。

3. CDトキシンを確認できた方が4名います。
便で調べるのですが、迅速診断で、ほぼ翌日には判明します。便の培養検査は1週間近くかかりますので、早く結果を得ることで、治療への取り組みもはやくなり、大変助かります。

4. 便の培養検査でクロストリジウム・ディフィシル菌(C.difficile)が確認できた方が3名います。

C. difficile は嫌気性菌(大腸菌などは好気性菌)なので、便の採取に特殊な容器が必要です。なお、ディフィシル(difficile)はdifficult (難しい) に由来しています。嫌気性菌であるため、培養が難しかったのでしょうね。

5. 治療
何といっても、まず、抗生物質の中止です。軽症の方(3名)は整腸剤で軽快しています。重症の方(2名)は入院治療をお願いしました。

偽膜性腸炎の診断は病歴(抗生物質の投与)と大腸カメラが決め手です。患者さんは、別の病気の治療で、腸まで悪くなったので、混乱されていることが多いです。「運が悪かった。」としかなぐさめようがありません。

「開院10周年シーズン3」⑦虫垂開口部の異常からの新展開

土曜日, 9 月 7th, 2019

『開院10周年』を迎えるにあたって、私が10年間続けてこられたもののひとつにブログがあります。日常生活においては、思いがけないことが起こることがあります。また、検査や治療においても、予期せぬ結果を招くことがあります。今回のシリーズでは「アクシデント」や「偶然」がもたらしたお話です。

大腸カメラの終点は盲腸です。盲腸には、虫垂の開口部が観察されます。通常では、それは、おへそのようなイメージです。
盲腸と虫垂の位置関係を確認してください。
【50代の女性】

腹痛の精査目的で大腸カメラを受けてもらいました。盲腸の虫垂開口部が「つくし」のような突起物として観察されました。色素散布をして詳しく観察すると、ポリープではなく、大腸粘膜の突起でした。腸の中から観察すれば、通常は窪んでいるハズの虫垂が腸の中に反転しているのです。大腸憩室でも同じことは起こります。ただ、虫垂の反転を観たことが無かったので、CT検査で確認することにしました。CTで虫垂の反転が確認されましたが、同時にすい臓がんも見つかり、急きょ、総合病院に入院していただきました。なお、虫垂の反転の原因はわかりませんでした。

【30代女性】
下腹部痛の精査のために大腸カメラを受けてもらいました。盲腸にある虫垂開口部が少し赤く腫れていました。虫垂に炎症があるわけで、CT検査も受けて頂きました。CTで慢性的に腫れた虫垂を認めましたが(慢性虫垂炎)、虫垂がんの可能性もあるため、大学病院に手術をお願いしました。手術前のルーチン検査として受けた胃カメラで胃がんが見つかり、急きょ胃がんの手術が追加されました。

最近、虫垂開口部の異常から内臓のがんが見つかった患者さんが2名続きました。たまたまだと思いますが、その異常を「良くあることだし、様子を見よう。」と判断していたら、がんの発見は遅れたと思います。わずかな異常でも「見逃さない」「そのままにしない」ということの大切さを強く感じました。

【あとがき】開院10周年記念シーズン3は今回で終了いたします。ご愛読ありがとうございました。

「開院10周年シーズン3」⑥超音波(エコー)検査で胃拡張が見えました。

金曜日, 9 月 6th, 2019

『開院10周年』を迎えるにあたって、私が10年間続けてこられたもののひとつにブログがあります。日常生活においては、思いがけないことが起こることがあります。また、検査や治療においても、予期せぬ結果を招くことがあります。今回のシリーズでは「アクシデント」や「偶然」がもたらしたお話です。

e9ad9ae7bea4e68ea2e79fa5e6a99f 食欲不振で来院された70代の男性の方です。
3日間、ほとんど何も食べることが出来ないので、点滴を希望されて来院されました。お腹を打診すると、胃の辺りの音がなんか変です。超音波(エコー)検査で観察してみると、胃液をパンパンに貯めた胃が観察されました。通常、超音波(エコー)検査では、胃や腸のなどの管腔臓器は観察できません。エコーは空気を通さないからです。もともと、超音波(エコー)検査は、魚群探知機を人間の体に応用したものらしいです。ですから、水の中は良く見えるのです。普段見えないものが見えること自体が異常です。救急病院にお願いしてその日のうちに腹部CT検査を受けて頂き、十二指腸に狭窄があることが確認されました(狭窄の原因は、すい臓の腫瘤でした)。

以前、腹部レントゲン写真で胃拡張を診断したことをブログで紹介しましたが、今回は、超音波(エコー)検査で診断することが出来ました。

「開院10周年シーズン3」⑤腹部レントゲン写真で胃拡張がみえました。 

木曜日, 9 月 5th, 2019

『開院10周年』を迎えるにあたって、私が10年間続けてこられたもののひとつにブログがあります。日常生活においては、思いがけないことが起こることがあります。また、検査や治療においても、予期せぬ結果を招くことがあります。今回のシリーズでは「アクシデント」や「偶然」がもたらしたお話です。

息をとめて~。カシャッ!嘔吐で来院された70代の男性の方です。
激しく吐いてしまうと、後は割と楽になるそうです。診察上は、柔らかいお腹で、腸雑音もイレウスを疑わせる音は聞こえませんでした。何か腑に落ちないものを感じたので、腹部レントゲン写真を撮ってみました。そうすると、腸のガスがお腹の真中から下に向かって凸状に弧を描くように圧排されていたのです。通常の腹部レントゲン写真では、胃は穹窿部のガス像が写る程度でほとんど存在感がありません。しかし、この方の写真は、「胃が張っている」という存在感を強く感じました。
救急病院にお願いしてその日のうちに腹部CT検査を受けて頂き、十二指腸水平脚に狭窄があることが確認されました(狭窄の原因は、悪性疾患の十二指腸への転移でした)。

勤務医だった頃に、一度だけ同じような腹部レントゲン写真を見たことがありました。その時は、十二指腸水平脚の粘膜内血腫による狭窄が原因でした。珍しい症例だったので、学会で発表しました。今回はその経験が生かされました。

研修医だった時に、消化器内科の部長先生が、立位と臥位の腹部レントゲン写真の写真を見比べて、胃のガス像の形が同じだったら、それは「胃が硬い」ということだから、スキルス胃癌も考えていた方が良いよ。と教えてもらいました。『レントゲン写真だけでスキルス胃癌を診断してしまうなんて、何てスゴイ先生なんだ。』と感動しました。それ以来、腹部レントゲン写真をみる時は、まず胃の辺りをみる習慣がついてしまったのです。


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