Archive for the ‘糖尿病’ Category

平成24年診療報告から(8)   糖尿病

木曜日, 2 月 21st, 2013

目です。昨年(平成24年)1年間に当院で糖尿病の治療を受けられた方のうち、
①  インスリン注射を受けた方が6名います。
②  GLP-1アナログ注射を受けた方が1名います。
③  インクレチン関連薬(DPP-4阻害薬)の治療を受けた方が30名います。

当院で初めて糖尿病を指摘された患者さんには、まず眼科を受診して頂きます。眼底検査で、糖尿病性網膜症の有無やその程度を把握しておくことが大切だからです。

初めてではない患者さんには、症状が無くても、最低1年に1回の眼科受診をお願いしています。

糖尿病の治療を始めると、血糖が下がっていきますが、あまり急激に下がると、眼底出血を来たすことがあります。最悪の場合、失明することもあります。ですから、前もって、眼底の状況を把握しておくことが重要です。HbA1c (ヘモグロビンエーワンシー)が1ヶ月で1%程度下がっていくようであれば、まずは安心です。

昨年より、院内でHbA1cが測れるようになりました。結果がすぐ分かるので、リアルタイムに治療に反映できます。患者さんの治療に対する意気込みも増したように思います。

【おまけ】 私が研修医だった頃、午後の時間が空いた時に眼科の診察室に通っていた内科の先生がおられました。「どうして、眼底の診察を習っておられるのですか?」と尋ねると、「人間の体で血管をじかに観察できるのは、眼底だけですよ!」と教えてもらいました。あの先生は、眼科医に診察をお願いしなくとも糖尿病性網膜症の診断が出来るのです。私も習っておけばよかった。

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糖尿病シリーズ(25) 「インスリン注射とDPP-4阻害薬」

火曜日, 9 月 18th, 2012

先日、糖尿病の講演を拝聴してきました。血糖降下剤である「DPP-4阻害剤」についてのお話しでした。

食事をすると、小腸から「インクレチン」というホルモンが分泌されます。インクレチンはすい臓に働きかけて、インスリン(血糖を下げるホルモン)分泌を刺激します。このインクレチンはDPP-4という物質によって速やかに分解されてしまいます。「DPP-4阻害薬」によって、インクレチンが分解されないようにすることでインスリンが分泌され血糖が下がるわけです。

講演の中で印象深かったエピソードをひとつご紹介しましょう。

インスリンの注射を打っているにも関わらず、血糖のコントロールが悪い患者さんに、
① DPP-4阻害薬を追加する。
② さらにインスリンの量を増やす。
という2つの治療群に分けて比較したところ、①は血糖が良く下がったけれど、②は血糖が下がらなかったという研究報告でした。
しかも、②は低血糖の頻度が増え危険な上、体重も増えてしまい、糖尿病の治療としては散々な結果であったという結論でした。

やみくもにインスリンの量を増やすのではなく、DPP-4阻害薬を併用することで内因性インスリン分泌が増えて、血糖コントロールが良くなったのでしょう。

1日60単位もインスリンを打っている状態で当院を受診されたのですが、DPP-4阻害剤を追加したことで、インスリンが40単位まで減らすことが出来た方がいらっしゃいますので、とても共感出来ました。

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糖尿病シリーズ(24) GLP-1受容体作動薬

日曜日, 10 月 16th, 2011

糖尿病の注射といえばインスリン注射でしたが、最近、インスリンとは別の注射薬が開発されました。

小腸にはインクレチンという消化管ホルモンが存在します。食物を食べると、小腸からインクレチンが分泌されます。インクレチンはすい臓に作用してインスリン分泌を増強します。GLP-1はインクレチンのひとつです。これを注射薬にしたものが、「GLP-1受容体作動薬」です。GLP-1受容体作動薬はインクレチンの分解酵素であるDPP-4に分解されにくい構造になっています。
 GLP-1受容体作動薬は低血糖では作用しないため、低血糖を起こしません。ですから、速効型インスリン注射のように注射を打った後に必ず食事をする必要がありませんし、血糖値に応じて投与量を変える必要もありません。毎日、1回、同じ量を注射するだけです。血糖が高くなれば、注射によって増加したインクレチンがインスリン分泌を促しますし、血糖が下がれば、何も作用しません。オートマチックなのです。ですから、原則、血糖測定も投与量の変更も必要ないのです。

 さらに、良いことに、GLP-1受容体作動薬は脳に働いて食欲を低下させるために、この注射を始めると数キログラム体重が減少します。
 インクレチン関連薬には、DPP-4阻害薬という飲み薬もありますが、注射薬のGLP-1受容体作動薬の方がより大きな効果が得られます。
 
これからは、GLP-1受容体作動薬を注射する糖尿病患者さんが増えていく可能性が大きいと思います。

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糖尿病シリーズ(23) インクレチンとDPP-4阻害薬

火曜日, 10 月 11th, 2011

 食事をすると、インクレチンが小腸から血液中に分泌されます。インクレチンとはインスリン(血糖を下げるホルモン)分泌をうながす消化管ホルモンです。インクレチンはDPP-4(酵素)によって速やかに分解されてしまいます。しかし、DPP-4をブロックしておけば、インクレチンは分解されずに長く血液中に残ります。その結果、インスリン分泌が促進され、血糖値が下がることになります。このDPP-4をブロックする薬「DPP-4阻害薬」が近年開発されました。日本でも、発売されて1年が経過しました。

DPP-4阻害薬を使用する際のポイントは、

① アルファグルコシダーゼ阻害薬(α-GI:商品名 ベイスン、など)との併用が良いと考えられています。α-GIにより小腸での糖質の分解・吸収が遅くなれば、それだけ、インクレチンの分泌も長い時間に及ぶわけで、ひいては、DPP-4阻害薬の効果も大きくなるわけです。

② スルホニルウレア剤(SU剤:商品名 アマリール、など)に追加する場合、SU剤を減量しておかないと、低血糖になり易く危険です。

③ インスリン治療(注射)に追加すると、インスリンの必要量が大幅に減るはずです。平成23年9月より、一部のDPP-4阻害薬に限って、この組合わせが保険診療で認められるようになりました。当院でも、早速、併用を始めて頂いた患者さんがいらっしゃいます。

DPP-4阻害薬が糖尿病の治療の大きな柱になってきていると実感する今日この頃です。

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糖尿病シリーズ(22) 上質なHBA1cと持続血糖測定器

月曜日, 10 月 3rd, 2011

これまで、概ね、空腹時血糖とHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)で糖尿病は評価されてきました。
しかし、最近は、早朝空腹時血糖とHbA1cだけではわからない血糖の『乱高下』が問題視されるようになっています。それは、食後の高血糖と深夜の低血糖は相殺されて、HbA1cには反映されないからです。24時間安定した血糖の方と、食後は高血糖で夜間は低血糖になっている方が、HbA1cでは同じ値になり得ます。安定した血糖を反映したHbA1cを「上質なHbA1c」と表現します。

重症の低血糖は死亡リスクを高くするため深刻な問題です。現在、最もよく使われている血糖降下剤のスルホニルウレア剤(SU剤)では食後の高血糖を十分に抑えることが出来ないので、ついつい多めに処方する傾向にあります。そのために、深夜の低血糖は更にひどくなっている可能性があります。HbA1cを下げようとSU剤をどんどん増量していくと、夜間に危険な低血糖を招いている可能性があるわけです。海外では、HbA1cの値を厳格にコントロールしたグループの方が、HbA1cがある程度高いグループよりも脳卒中のリスクが高いことが報告されています。

c0219358_172744901日24時間、連続して5分毎に血糖を測ることが出来る「持続血糖測定器」という優れものがあります。これで、1日の血糖の乱れ具合が把握できます。血糖の乱高下の著しい場合は、スルホニルウレア剤(SU剤)による治療を他の方法に変更するべきです。

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糖尿病シリーズ(21) インスリン注射と内服薬

金曜日, 9 月 30th, 2011

メトホルミン 欧米の2型糖尿病のガイドラインでは、まずメトホルミンを投与します。その次のステップはメトホルミンに基礎インスリンを加えます。基礎インスリンとは24時間一定の濃度のインスリンのことです。ランタスに代表される持続型インスリンアナログを1日1回注射することです。

ところが、日本国内でインスリンに併用できる薬は、SU剤(アマリール、他)、チアゾリジン薬(アクトス、他)、α-グリコシダーゼ阻害薬(ベイスン、他)の3種類のみで、メトホルミンは認められていません。

研究会でたびたび、「インスリン注射にメトホルミンを追加したら、血糖コントロールが良くなってインスリンの量も大幅に少なくなりました。」という趣旨の発表を拝聴します。しかし、保険診療では認められていない治療法を紹介されても、「絵に描いたモチ」でしかありません。

福岡県の保険診療を担当している「県医師会地域医療課」に問い合わせてみたところ、やはり、インスリンとメトホルミンの併用は認めることは出来ないとの返答でした。

どうして欧米で推奨されている治療法が日本では認められないのか不思議です。メトホルミンの1錠10円に比べて、アクトス(30mg)は1錠158円、ベイスンOD(0.3mg)は1錠60円と高価な薬です。医療費の面からもメトホルミンを活用することは意義深いことだと思います。

追記:最近、インスリンにDPP-4阻害薬の併用が認められました。

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糖尿病 シリーズ(20) 血糖自己測定器

火曜日, 12 月 21st, 2010

糖尿病の治療にどうしても欠かせないのが血糖測定です。耳たぶをチクッと針で刺されて血糖を測ってもらった経験をお持ちの方も多いと思います。
 この血糖測定を自分自身で出来れば大きな武器になります。風邪をひいて食事が十分に取れない。こんな時、糖尿病の薬は飲むべきか止めるべきか迷います。気分が悪くなった時、血糖が高いためなのか、低いためなのか、判断に迷います。自分で血糖が測れれば、病院に行かなくても自分で対応出来ます。
 最近の血糖測定器は使い勝手もずいぶん良くなりました。10秒待てば結果が出ます。測定した血糖値も記録が残ります。インスリンを打っている方は医療費の中に組み込まれています。

中野胃腸クリニックでご用意できる血糖値測定器
なお、自分で買うと、どの機種も大体13,000円前後です。

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糖尿病 シリーズ(19) 自覚症状

水曜日, 12 月 15th, 2010

ブログを読んで下さっている方から「糖尿病の症状を教えて下さい。」と言われました。確かにそうですね。自覚症状を知らなければ、自分が糖尿病であることに気付くことが出来ませんから。
 一般的に有名な症状が「口渇、多飲、多尿」です。実は、この3つの症状は、まず、多尿から始まります。血液中に沢山のブドウ糖が溜まりますと、その余分なブドウ糖が、尿中に溢れ出てきます。そうすると、「浸透圧利尿」といって、必要以上に尿量が多くなります。その結果、体は脱水傾向となり、脳にある口渇中枢が刺激され、沢山の水分を取るようになるわけです。糖尿病は、他にも全身倦怠感や体重減少などの症状を来します。
 しかし、これまでブログを読んで頂いている皆さんならお解りのように、糖尿病は症状が出ないうちに診断しなければ、治すのが大変です。是非、血糖測定を受けて頂くことをお勧めします。

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糖尿病 シリーズ(18) すい細胞移植

火曜日, 11 月 23rd, 2010

読者の方からこんな質問を頂きました。
「飲み薬もインスリン注射も糖尿病の治療としては根治的ではないですよね。根本から治す方法ってないのですか?」
そんな風に考えるこの読者の方はスゴイです。糖尿病は食事と運動、さらには薬(飲み薬かインスリン注射)でコントロールするものと考えるのが普通ですから。
根本的に治す方法は1型糖尿病ならばあります。「すい細胞移植」です。提供者のすい臓からインスリンを分泌するランゲルハンス島だけを取り出します。それを患者さんの門脈という血管内に注入し定着させます。成功すれば、インスリンは一切不要になります。
 日本での1例目は2004年に京都大学病院で実施されました。手術時間は20分、1ヶ月後には無事退院されています。日本もスゴイ!

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糖尿病 シリーズ(17) 消化器内科医の立場から

金曜日, 10 月 29th, 2010

ちょっと生意気ですが、日頃の診療から気付いたことを2,3提案してみたいと思います。

① 肝硬変ではHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)は見かけ上、低い値を示す。
肝硬変患者さんは脾臓が腫れています。血球は腫れた脾臓で壊されるため、赤血球の寿命が通常よりも短くなります。その影響でHbA1c値は本来の値よりも1.5程度低くなります。例えば、HbA1cの値が6.0であれば、本当は7.5ということです。

② すい臓がんをもっと意識するべきだと思う。
糖尿病専門医であるがゆえに、血糖コントロールに集中している傾向があるように思います。すい臓がん患者さんの病歴を聞くと、それまでは糖尿病専門医に診てもらっていたということが時々あります。糖尿病はすい臓がんのハイリスクグループであることをもっと認識するべきです。

③ 慢性すい炎では消化・吸収が悪い。
すい液がほとんど出なくなってしまった状態が慢性すい炎です。この場合、単純に糖尿病の方と同じように厳しいカロリー制限をすると、最低限の栄養すら吸収出来なくなり、最悪に場合栄養失調が進行してしまいます。慢性すい炎患者さんに、通常のカロリー計算を当てはめるのは危険です。

*糖尿病シリーズは今回で一旦終了いたします。皆様のご参考になっていれば幸いです。(中野)

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