Archive for the ‘腹痛’ Category

すい臓がん ー10年間の診療を振り返ってー

月曜日, 4 月 1st, 2019

緑色がすい臓です。重さわずか120gです。最近、週間に名のすい臓がんが見つかりました。普段は、年間に名いるかいないか程度なので、とても驚きました。そこで、開院以来10年間の当院のすい臓がん患者さんを調べてみました。

すい臓がん患者さんの総数は11名でした。男性名、女性名です。年令は、39才から85才迄で、平均年令は66才でした。すい臓がんのリスクファクターとして、膵炎の既往、糖尿病、肥満、喫煙、大量飲酒、高脂血症、などが指摘されています。これら11名の中には、アルコール性膵炎の既往のある方が名、MBIが30以上の高度肥満の方が名いらっしゃいましたが、そのほかの方は、これといったリスクファクターが見当たりませんでした。
全員腹部造影CT検査で確定診断がついています。進行度は全員ステージⅣで、腫瘍径が2cm以下の「小膵癌」の方はいらっしゃいませんでした。手術が可能な方はひとりもおらず、かなり病気が進行した時点で見つかったわけです。

最近のすい臓がんの本邦死亡者数は年間千人であり、10年前に比べると約万人も増加しています。10年間で1.5倍に増えたわけです。国立がんセンターの先生は、増えた要因は、①長生きする人が増えたから、②造影CT検査の精度が上がったからと解説されています(ドクターサロン2019月号)。しかし、この10年間に、高齢者が1.5倍も増えたでしょうか? この10年間でCT装置に画期的な進歩があったでしょうか? 答えはいずれも「いいえ」です。

九州がんセンターの先生が興味ある取り組みをされています。早期のすい臓がんを見つけるために、造影CT検査とMRI(MRCP)を両方おこなう人間ドックを始めたのです。しかし、年間やってみて、名もすい臓がんを見つけることが出来ませんでした。その要因として、ハイリスクグループの方がほとんど受診せず、健康志向の高い方の受診が多かったためではないかと考察されています。医師の思い通りには対象者が集まってくれなかったわけです。

一般的に、すい臓がんは発がんから発症まで長い年月を要すると考えられています。しかし、当院で経験した患者さんの中に、すい臓がんと診断されるか月前に腹部造影CT検査を受けていた方がおられます。その時点では、まったくすい臓に異常は無かったのです(念のために、放射線科医に再度確認してもらいました)。発がんから発症、そして進行までの時間経過はまだ詳細にはわかっていません。

ピロリ菌と胃がん、
便潜血検査と大腸がん、
B型肝炎・C型肝炎と肝臓がん、
といった具合に、絶対的なリスクファクターがすい臓がんでは見つかっていないのが現状です。

偽膜性腸炎

金曜日, 3 月 15th, 2019

抗生物質です。抗生物質の投与を受けると、腸内細菌のバランスが崩れます。菌交代現象により異常に増殖したクロストリジウム・ディフィシル菌(嫌気性菌)が産生する毒素(CDトキシン)により腸炎が発症します。大腸カメラで粘膜に白色の丸い斑点(偽膜)が観察されることから、偽膜性腸炎といいます。当院では、過去10年間に人の患者さんを診断しています。

30代女性
副鼻腔炎で抗生物質を投与されました。その後、腹痛、下痢、下血が出現したため、近医を受診。整腸剤等を処方されましたが軽快しませんでした。症状が改善しないため、つのクリニックを次々に受診し、つ目のクリニックとして当院を受診されました。病歴から抗生物質起因性腸炎が偽膜性腸炎に進展していることが予想されました。直ちに大腸内視鏡検査おこなったところ、直腸に偽膜が観察されました。便中のCDトキシン(+)、便の嫌気性菌培養でクロストリジウム・ディフィシルが検出されました。通常の倍量の整腸剤を処方したところ、速やかに症状が改善したため、バンコマイシン(又はフラジール)の投与は見合わせました。

病歴から偽膜性腸炎を来していることが容易に予想されるにもかかわらず、前医で診断に至らなかった理由を幾つか想像してみました。
① 抗生物質起因性腸炎は、抗生物質をやめれば大抵は治るので、詳しく原因を探る必要が無いと判断された可能性。
② 嫌気性菌の培養の備えをしていなかった可能性。通常の培養検査は好気性菌のみを対象としています。嫌気性菌を培養するためには、専用の容器が必要です。
③ フレキシブルに大腸内視鏡検査をする体制が出来ていなかった可能性。
などなど。

当院では、好気性菌の培養だけではなく、嫌気性菌の培養が出来るように常に準備しています。ある程度の便量が採れた場合にはCDトキシンも調べます。さらに、看護師さんの協力の下、浣腸による前処置のみで直腸とS状結腸の大腸内視鏡検査を診察の合間に随時行っています。

抗リン脂質抗体症候群

土曜日, 12 月 15th, 2018

お腹の血管はアーケードを形成しています。40代女性
1週間ほど前から続く上腹部痛のために来院されました。痛みの程度はうずくまるほどの激痛では無いけれど、これまで経験した胃の痛みよりは強い。という感じでした。エコー検査で胆石は無く、胃カメラでは胃潰瘍を認めませんでした。検査の結果を説明している間も、自然に手がお腹に行ってしまっており、痛みの深刻さが伝わってきました。その日のうちに腹部CT検査を受けてもらった結果、腹腔動脈と上腸間膜動脈の起始部での血栓による閉塞が確認されました。どちらもお腹の大事な血管です。閉塞部位を迂回する血管のバイパス手術が施行されました。
当院で採血していた保存血液で「抗カルジオリピン抗体」が陽性と判明したことより、血栓の原因は抗リン脂質抗体症候群だと思います。なお、確定診断を付けるためには12週間以上間隔をおいて再度、測定することが必要です。

抗リン脂質抗体症候群は、血中に抗リン脂質抗体と呼ばれる自己抗体が、様々な部位の動脈血栓や静脈血栓を来す疾患です。脳で起これば、脳梗塞が発症しますし、末梢動脈の閉塞では皮膚潰瘍が、網膜の血栓では視野異常失明を来します。今回、腹腔動脈と上腸間膜動脈の閉塞という非常に大きなトラブルにもかかわらず、内臓に大きな障害が出なかったのは、腹部の動脈がお互いに血流が行き来できる「アーケード」を形成しているためではないかと考えます。
なお、リン脂質抗体症候群は「習慣性流産」の既往が有名ですが、この方の場合、定かではありません。診察した際に、確か妊娠線は無かったと記憶しているので、出産の経験が無いかもしれません。
この病気の原因は不明であり、治療は抗凝固剤(血液をサラサラにする薬)の内服による血栓の予防しかありません。再発率は高いようです。

原発性の抗リン脂質抗体症候群は日本に5,000~10,000人程度いると推定されています。“1万人に1人“というかなりまれな病気です。それだけに、強く印象に残る経験でした。

最近経験した3名の虫垂炎の方々のお話

土曜日, 11 月 3rd, 2018

結論から言うと、「虫垂炎ってやっぱり難しい」です。

Mcburney圧痛点40代男性
深夜に激しい上腹部痛で目が覚めました。発熱、嘔吐、下痢すべて無し。痛みが良くならないために当院を受診されました。来院時、強い痛みのために動くのもままならない状態でしたが、お腹を診察すると、全体に柔らかく、右下腹部のマックバーネー(Mcburney)圧痛点(虫垂炎に特徴的な圧痛点)は陰性でした。血液検査では白血球がかなり増えていました。以上の結果から『急性腹症』(腹部に何らかの強い炎症がある)という漠然とした診断名で大学病院を紹介しました。CT検査で虫垂炎と診断がつき、直ちに手術が施行されています。

20代女性
嘔気、上腹部痛、37℃台の発熱にて来院されました。マックバーネー圧痛点は陽性でした。血液検査で白血球増多も認めました。そこで、エコー検査で腫れた虫垂を確認しようと試みました。実は、前述したほろ苦い経験から「何か診断能力をあげる手立ては無いものか」と模索していたのです。マックバーネー圧痛点が陽性であれば、そこにエコーを当てて、プローベを回転させることで、虫垂の横断面(ドーナッツみたいな画)と長軸方向(盲端で終わっている腸)が容易に確認出来ると本に書いてあったのです。虫垂が見つけにくい時は、上行結腸を頭側から横断面で確認していけば、上行結腸の下端で、『まるで霧が晴れるように」虫垂が描出出来ますと書いてあったのです。ところが、本のように虫垂の描出は上手くいきませんでした。大学病院を紹介しましたが、紹介状にエコー検査のことは触れていません。

70代女性
前日からの上腹部痛と軟便を主訴に来院されました。診察上は、強い炎症は認めなかったため、胃薬と整腸剤で様子見ることにしました。翌日深夜に、痛みが強くなり救急病院に入院されました。入院中に虫垂炎が穿孔し緊急手術になっています。退院後に当院を受診なさった際に、その経緯を伺い、『あの時の腹痛は虫垂炎だったんだ』と初めて気付かされました。

虫垂炎の初期は典型的な右下腹部の痛み(自発痛や圧痛)が無いことが多く、診断が難しいです。3例目の方の様に、虫垂炎の可能性をまったく疑っていないことすらあります。

虫垂炎を見落とさないようにするために、
診察のルーチン化(全員、とにかく、必ず、盲腸を圧迫すること)
虫垂炎のスコア化(症状、所見、血液検査、など10項目をチェックする。7点以上は虫垂炎が強く疑われる)
をおこなってきました。1例目の方を経験してからはエコー検査で虫垂を確認することを積極的に取り入れています。しかし、まだまだ「道半ば」といったところです。

鶏のタタキ 生で食べても安全な肉は「牛肉」だけです。

月曜日, 7 月 30th, 2018

美味しそうですが・・・。居酒屋メニューに「鶏のタタキ」があります。よかったら、「鶏のタタキ」の知識を収集していきませんか。

① かつおのタタキは意味があります。
タタキと言えば、まず「かつおのタタキ」が思い浮かびます。かつおは皮の下に寄生虫がいることが多いので、周りだけ炙(あぶ)って処理しておけば、安全に美味しく食べることが出来ます。

② 生の牛肝臓(レバ刺し)は販売することが禁止されています。
牛内臓の10%は腸管出血性大腸菌(O-157、他)を保有しています。O-157は少量の菌だけでも、死に至ることがあります。ですから、レバ刺しは販売が禁止されています。一方、牛肉は生でも安全です

③ 鶏肉の保菌率
鶏肉のカンピロバクターの保菌率は10%から100%です。新鮮な肉ほど保菌率が高いです。カンピロバクターは肉の内部に潜り込んでいきますので、肉の周囲だけに火を通しても菌は死にません。また、鶏肉のサルモネラ菌の保菌率は50%以上です。鮮度が落ちるとさらに保菌率は上がります

それでも、あなたは、鶏のタタキを注文しますか?

【追記】
鶏肉を洗ってはいけません。菌の付いた水しぶきが周囲の食材や食器に飛び跳ねるからです。鶏肉をさばいた包丁とまな板は十分に洗ってから次の作業に移ってください。

背部痛→心窩部痛→腹部大動脈瘤

水曜日, 6 月 20th, 2018

【60代男性】腹部大動脈瘤
1週間前に強い背中の痛みが発症し、ペインクリニックを受診されました。局所に注射を打ってもらい、痛み止めを処方されました。その薬を内服したために心窩部痛が出現したと当院を受診され、胃カメラを希望されました。病状を聞きながら「痛み止めによる胃潰瘍」を想定し、『痛み止めは胃に悪いから、極力飲まないように。』と説明し、胃カメラの予定を入れました。
❷『胃カメラで確実な診断がつくから、今日は話を聞くだけで良いかな。』と思って診察を終わろうとした時、患者さんから腹部の診察を求められました。そこで初めてお腹の触診をしたのですが、ヘソの辺りに可動性の無い鶏卵大の硬いしこり触れました。エコーで確かめると、8x5cmの腹部大動脈瘤でした。
❸気に留めていなかった血圧は180/120mmHgと異常高値です。動脈瘤の切迫破裂によって、「背部痛」→「心窩部痛」と痛みの性状が変化したのであれば、とても危険な状況です。頭の中を切り替えて、直ぐに循環器内科医に診てもらうように手配しました。
❹CT検査の結果、腹部大動脈瘤が確認されました。直ちに「人工血管置換術」が施行され、無事に退院されました。
和やかな雰囲気が大事ですね。
【あとがき】
今回の診療ではいろいろ反省することがありました。
・患者さんの話にそのまま乗っかてはいけない。
・胃カメラを予定していても、お腹の触診をする。
・バイタルチェックをきちんと確認してから診察を始める。等々。
特に、患者さんがお腹の触診を希望されたことがポイントでした。患者さんが何でも言い易い雰囲気をつくることが大切ですね。

フィッツヒュー・カーティス 症候群

木曜日, 7 月 20th, 2017

お腹が痛い!「症候群」は、その病態を最初に発見した人の名前を付けることが一般的です。
フィッツヒュー医師とカーティス医師がそれぞれ、女性の性感染症による腹痛を報告したのが最初で、この名前が付きました。
現在では、クラミジア(等)感染症による骨盤周囲炎と同意語になっています。

【症例】20代女性
強い右上腹痛のために来院されました。嘔吐、下痢はありません。発熱もありません。診察では、腸雑音に異常は無かったのですが、打診(中指をもう一方の中指でトントンと叩くやつです)すると、強く痛みを訴えられました。痛みは広範囲で、部位を特定できませんでした。触診上、お腹は柔らかく、腹膜炎の可能性はなさそうでした。血液検査では、白血球数は正常で、白血球の成分も正常でした。エコー検査では胆石は認めませんでした。

ここまでで一旦頭の中を整理してみました。
① 腹痛ではあるけれど、胃腸症状は無い。こういった場合はむしろ要注意である。虫垂炎、尿管結石、お腹の血管の閉塞、などいろいろ考えておかなければならない。白血球が増えていないので、虫垂炎ではなさそうだ。血尿の訴えはなく、尿管結石も考えにくい。不整脈がないことから血栓が詰まる可能性は低そうだ。
② 強い痛みを訴えている割には、診察上、異常所見は認めない。
③ 女性の腹痛は子宮や卵巣が原因の可能性もある。

そこで、性感染症の可能性をご本人に説明し、クラミジア抗体を測定し、クラミジアに効果のある抗菌剤を処方することを了承して頂きました。
フィッツヒューカーティス症候群は、その激しい痛みのために、緊急手術になることが時々あります。この方も、非常に強い痛みでしたが、腹膜炎の所見はなく、落ち着いて診察が出来ました。なお、クラミジアに感染しても白血球は増えないことが多いのです。

後日、来院された時は、腹痛はおさまっていました。クラミジア抗体が上昇していることを説明し、産婦人科医にその後の治療をお願いしました。

【余談】三十数年前、医師国家試験に備えて、数多くの症候群を暗記しました。フィッツヒューカーティス症候群は無かったですね。

やっぱり難しい虫垂炎 その後

日曜日, 10 月 30th, 2016

盲腸(虫垂炎)かも?前回、虫垂の反対側の下行結腸を逆さまに押し上げてみて初めて虫垂に痛みが出る『ロブシングサインRovsing sign 』に触れました。また、患者さんを左側臥位(左横向きに寝てもらいます)にして、マックバーニーの圧痛点を押えると、圧痛が著明になる症状を『ローゼンシュタインサイン Rosenstein 』といいます。左側臥位になることで、小腸が左側に移動し、虫垂を腹壁から直接圧迫出来るようになるためです。

先日の虫垂炎の患者さんの後に、続けてもう一人虫垂炎らしい患者さんがみえました。マックバーニーの圧痛点は陰性でしたが、ローゼンシュタインサインは陽性でした。ちなみに、ロブシングサインは陰性でした。

さらに、もう一人虫垂炎らしき患者さんがみえました(続く時は続きますね)。この方は、マックバーニーの圧痛点が陽性でした。残念ながら、ロブシングサインは陰性でした。(ローゼンシュタインサインを確認する必要は無いでしょう。)

今回、マックバーニーの圧痛点が陰性の虫垂炎の患者さんを経験したことがきっかけで、
マックバーニー以外の診察の方法を再認識し、日々の診療に取り入れることが出来ました。腹痛の診察は、高度な器械に頼らなくても、やり方次第で精度が上がることを、身をもって経験することが出来ました。患者さんから学ぶことはまだまだ沢山ありそうです。

やっぱり難しい虫垂炎

木曜日, 10 月 20th, 2016

マックバーニーの圧痛点これまでにブログに何度か取り上げてきた虫垂炎ですが、今回も、難しい症例でした。
【50才代の男性】
【飲酒癧】ウイスキー シングル5杯/日
【病歴】前日より急に左上腹部痛が出現し、来院されました。発熱なし。嘔気、嘔吐・下痢無し。生ものは食べていません。アルコールを大量に飲んでいません。
【診察】左上腹部(胃の少し外側あたり)に圧痛を認めましたが、それ以外には、異常な所見がありません。もちろん、虫垂のある右下腹部を押えても痛みはありませんでした。腸雑音も異常なし。背中(腎臓やすい臓のあるあたり)をドンドンと叩いても大丈夫でした。

この時点で私は2つの可能性を考えました。
① 急な痛みの発症だから、結石(胆石、尿管結石)か、腸のねじれ・閉塞か、血管の異変の可能性があるのではないだろうか。
② 大酒家だから、アルコール性急性膵炎かもしれない。(飲酒量は実際より少なめに申告する人が多い。)

【検査】エコー検査で、胆石は見当たりませんでした。血液検査では白血球が異常に増加していました。すい臓や胆道系の酵素はほぼ正常でした。①も②も否定的な結果でした。

しかし、痛みが強いことと白血球増多があることから、直ぐにCT検査を撮って頂くように救急病院に依頼しました。CTの結果、虫垂炎と診断されました。虫垂炎も腸の閉塞と言えばそうですね。

【学んだこと】学生時代の外科の授業で、「右下腹部を圧迫するマックバーニー(Mcburney)の圧痛点ランツ(Lanz)の圧痛点が陰性でも、虫垂の反対側の下行結腸を逆さまに押し上げてみて初めて虫垂に痛みが出ることがあります(ロブシングサインRovsing sign)。」と教授が講義されたことを思い出しました。この患者さんにロブシングサインを試していたらどうだったでしょうか? これからは、日々の診療で『ロブシングサイン』も確認しようと決心しました。

膵がんと肥満

木曜日, 9 月 1st, 2016

膵がんは、男女とも近年増加傾向にあります。男性はがん死の第位、女性は第位で、これは乳がんよりも多いのです。先日、膵炎症状から膵がんが見つかった方がおられました。BMIが30以上でした。
BMIとは?

50代の方で、心窩部痛と背部痛を主訴に来院されました。アルコールの摂取も普通ですし、特別高脂肪食や高蛋白食を好んで食べるというわけでもありません。エコー検査で胆石は認めませんでした。背部痛が気になったので、血中の膵酵素を測定したところ、アミラーゼ(炭水化物を分解する酵素)もリパーゼ(脂肪を分解する酵素)も上昇していました。特にリパーゼは正常上限の10倍でした。リパーゼは膵臓の病気以外で上がることは、ほとんどありません。膵臓の病気を見つけるのに非常に有用な検査です。そのリパーゼが異常に高い。膵炎の原因もはっきりしない。何か腑に落ちないものを感じたので、CT検査を受けて頂きました。その結果、2cmの膵腫瘍が見つかったのです。

膵臓に腫瘍が出来ると、正常な膵液の流れを妨げてしまいます。腫瘍によってせき止められた膵液が膵実質に炎症をおこし、また、血中に逸脱していきます。腫瘍があることに随伴しておこるので『随伴性膵炎』と言います。膵炎を診た時は、常に、念頭に入れておかなければいけません。

膵がんのリスクファクターとして、喫煙飲酒糖尿病、などがあります。意外と思われるかもしれませんが、肥満もリスクファクターです。肥満による高血糖や高脂血症が発癌を促進すると考えられています。この方の膵がんの原因は肥満だったかもしれません。

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