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中野胃腸クリニックBLOG » 診療報酬

Archive for the ‘診療報酬’ Category

診療報酬の改定2022年

水曜日, 6 月 1st, 2022

診療報酬はドンドン複雑になってきました。この4月に診療報酬の改定がおこなわれました。改定は2年毎におこなわれています。全体として何パーセント引き上げられた(あるいは引き下げられた)といったコスト面ばかりが報道されがちですが、当事者にとっては、改訂は大変な作業を強いられることもあります。

1.レセプト記載方法の変更

これまでは、病理診断の臓器が1か所であれば臓器名の記載は不要でした。例えば、胃カメラをおこなった際に胃ポリープを生検し、病理診断をおこなったとします。レセプトの病名は胃ポリープで、診療内容に、胃カメラと生検と病理判断料を記載します。そのレセプトを審査する方は、生検とその病理診断をおこなった臓器は『胃』であると容易に想像がつきますから、臓器名が無くても問題は無かったわけです。しかし、今回の改定で、生検した臓器と病理診断をおこなった臓器を8つの選択肢の中から選び、明記するようになりました。病理関連の診療内容をより正確にするためだと想像されます。
この新しい診療報酬体系を電子カルテに上書きするCD-Rが4月末にクリニックに届きました。レセプトの〆切である翌月10日までに該当するレセプトを書き換えなければいけません。その時に役に立ったのが、毎日の内視鏡検査を記録しているノートでした。検査日毎に、患者さんの氏名・年齢、生検(ポリペクトミーも含む)の有無、迅速ウレアーゼ試験(胃粘膜を採取します)の有無、等を記載していますので、これを頼りに、60件余りの該当するレセプトを期日内に修正できました。これ程多くのレセプトを一度に修正したのは初めての経験でした。

2.新規の届け出「外来感染対策向上加算」

感染症対策に積極的に取り組む体制を整える基準が新設されました。届け出制なので、強制ではありません。認可されれば、診療報酬に加算されます。届け出の条件がいくつかあるのですが、「院内感染対策会議を年に2回以上おこなっていること」という項目がありました。当院では開院以来、年に2回、スタッフ皆で院内感染対策会議を開きその内容を記録に残してきました。
また、「感染症に対する診療内容を県または市のホームページに掲載していること」が必要条件にありました。具体的には、「発熱患者さんを診察するのか否か」という点です。ただし、この場合、一般の患者さんの安全を考慮し、動線を完全に分けることが必要です。駐車場での診察とか、プレハブ小屋での診察といったものが思い浮かぶと思います。「PCR検査をおこなっているのか否か」という点も重要です。電話で問い合わせなくとも、県または市のホームページに当院の診療方針を公開しておけば、行き違いが生じることが減ると考え、公開してきていました。ちなみに、当院では発熱患者さんの診察は駐車場もしくは風除室でおこないますが、PCR検査は実施していません。

このように届け出の条件を満たしていたので、外来感染対策向上加算を算定することにしました。

診療報酬シリーズ(21) 診療報酬の点数に関する私見

火曜日, 2 月 28th, 2017

このシリーズは、開業年目の私の知識が、母校の新規開業した先生、あるいは、開業を控えている先生のお役にたてればと思い始めました。その対象でない方は読んでも面白くありませんので、予めご了承ください。
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① 診療報酬は命に関わることには点数が高い。

例えば、内視鏡検査で大腸ポリープを切除した場合、5,000点です(1点=10円)。ところが、切除後数日経過した後に下血し、急きょ、内視鏡的に止血術をおこなった場合は、10,930点と倍以上の高い点数が付きます。大腸ポリープ切除も止血術もほぼ同じ処置内容です。「切る」か「止血する」かの違いだけです。ただし、止血できなければ、生命を脅かす場合もあり得るわけですから、高い点数が付いているのだと思います。
一方、歯科の点数が異常に低いことをご存知ですか。私自身の経験ですが、30分間かけて、歯石や歯肉の手入れをして頂いても、400点程度でした。これでは、歯科医院が閉院に追い込まれるのもやむを得ないと思います。点数が低いのは、虫歯では死なないから?

② 診療報酬の髙点数に惑わされてはいけない。

国の政策は、医療費の抑制目的で入院患者さんを在宅医療に移行しようとしています。開業医が在宅医療を積極的に取り入れるように、非常に高い点数が付けられました。夢の様な点数です。そのため、診察室の無い「在宅専門クリニック」も出来ました。そして、ある程度、在宅医療が浸透してきたころを見計らって、大幅な点数の引き下げがおこなわれました。まさに悪夢です。ですから「点数の高い・低い」に惑わされることなく、自分の信念をつらぬかなければ、ひどい目に合うと思うのです。

③ 診療報酬は確実に下がっています。

例えば、糖尿病の治療のひとつであるインスリン自己注射を例にとってみましょう。
20年前は管理料として1,000点程度が算定されていました。
10年前ぐらい前から880点に減額され、昨年からは750点に下げられました。2型糖尿病に安易にインスリン治療を併用するなどの医療側の要因もあると思いますが、財源が厳しいのが最大の理由だと思います。

④ 点数が決められていることの安心感

同じ自営業として、レストランを例にとってみましょう。ランチをいくらに設定するか悩みます。売れ行きが悪ければ、もう少し値段を下げようかと思案したりするでしょう。ところが、医療は値段が決められていますので、悩む必要がありません。経営を成り立たせるためには、その医療行為に要する時間を短くする以外には方法は無いのです。その最たる弊害が「3分間診療」と揶揄される診察時間の短縮でしょう。だからこそ、診察に時間をかけることで、信頼関係が得られると私は信じています。

診療報酬シリーズ(20)  レセプトの返戻(へんれい)

土曜日, 8 月 13th, 2016

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レセプトを提出してから、数か月後、場合によっては1年以上も経ってから、レセプトの「返戻」があります。審査支払機関から、「保険診療と認められないから、返金しなさい。」という通達です。一応、その理由がABC等で書かれていますが(A:過剰と思われる、B:云々、等)、個々のレセプトの詳細については、一切説明はありません。仮に問い合わせても、「審査された先生の意見は、ここではわかりません。」という返事が返ってくるだけです。

最近、高齢者の大腸カメラの査定が厳しくなりました。以前なら、大腸ポリープ等の病名が付いていれば、100%査定されることは無かったのですが、最近になって、査定されるレセプトがたまに出てきました。
「75才以上(後期高齢者)なのか?」
「病名(大腸ポリープ)の日付が古くないか?」
「前年にも大腸カメラをしていないか?」
「同じ月に胃カメラもしていないか?」
など、いくつか傾向を調べたのですが、一貫性は無く、無作為のようです。

この「たまに」というところが悩ましいのです。最近、ようやく、審査支払機関のやり方が分かってきました。
例えば、75歳以上の大腸カメラを「過剰診療」として一律査定すれば、「75歳以上は検査を受けるな、ということか!」と社会問題になるでしょう? しかし、審査支払機関としては、出来るだけ、医療費を減らしたいのが本音でしょう。そこで、たまに、査定するのです。そうすると、診療する側(医師)は、高齢者に大腸カメラをおこなうことを躊躇するようになります。検査に関する説明やいろいろな同意書の作成、前処置、内視鏡検査、等一連の手間ひまをかけて施行した大腸カメラが、認められなかったら、がっかりしますよね。時間と労力の無駄ですから。
私自身も高齢者の大腸カメラは、検査自体のリスクのこともありますが、査定のことも考えて、より慎重になりました。
こうやって、目に見えない形で診療に圧力をかけるんですね。
あえて、審査の基準を曖昧にすることで審査支払機関が患者さんからの非難を受けないで、検査(医療費)を抑制出来るわけです。

では、どうすればいいのでしょうか? 私の対策方法です。
①健診的な意味合いで検査は受けられないことを患者さんに説明する。
②病名を個々にレセプト毎に詳細に記載する。便潜血、大腸憩室症、大腸癌の術後、等。
③ポリープがあれば、生検する。

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診療報酬シリーズ(19)  ピロリ菌の診断・除菌・判定

日曜日, 9 月 6th, 2015

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今回のテーマは「ピロリ菌の診断・除菌・判定」について、私見を交えながら解説したいと思います。
【1】 適応
ヘリコバクタピロリ菌の診断・治療は、その適応がドンドン広げられ、現在では、「内視鏡検査で診断された(萎縮性)胃炎」まで適応となっています。内視鏡検査を受けた人は、引き続き、ピロリ菌感染の検査を受けることが出来ると解釈しても良いと思います。

では、次の場合はどうでしょうか?
① 会社の健診で血中ピロリ菌抗体陽性を指摘された。
まず、内視鏡検査を受けて頂き、萎縮性胃炎を確認したならば、迅速ウレアーゼ試験等をおこないます。内視鏡検査をしないで、ピロリ菌の除菌治療は出来ません。
② 人間ドックで内視鏡検査を受けて「萎縮性胃炎」と診断された。
この場合、もう一度、内視鏡検査を受けて頂くのは気の毒なので、当院では、ピロリ菌感染の有無を血液か便か呼気で調べています。ただし、レセプトの症状詳記に内視鏡検査を何時何処で受けたかを明記しています。なお、内視鏡検査の時期は「半年以内」であることが望ましいようです。(1年以内であれば、査定されたことはありません。)

【2】 診断
ピロリ菌感染の有無を調べる方法は項目あります。
① 迅速ウレアーゼ試験(内視鏡検査必要)
② 組織鏡検法(内視鏡検査必要)
③ 培養法(内視鏡検査必要)  *実際はほとんど使わない
④ 抗体測定
⑤ 尿素呼気試験
⑥ 便中ピロリ抗原測定

難しいのは以下の文面です。
「①~⑥より1法を用いる。判定が陰性の場合に限り他の検査が1つだけ認められる」
「①~⑥の検査を同時に実施した場合①+②、④+⑤、④+⑥、⑤+⑥に限り同時算定可」

どうです?なかなか、難解な文章でしょう?読んだ時は解っていたつもりでも、実際の診療の場では、「あれっ?どうだったけ?」となることが多々あります。
私は、ほとんど①(迅速ウレアーゼ試験)のみで判定しています。50歳以下の方は除菌によって90%胃がんのリスクが小さくなります。ですから、50歳以下で①(迅速ウレアーゼ試験)が陰性だった場合は、⑥(便中ピロリ菌抗原測定)を追加で受けることを勧めています。⑤(尿素呼気試験)は高額ですから、そのことを説明した上でお勧めしています。

過去にピロリ菌感染があいまいに指摘されている方や複雑な事情のある方は、④⑤⑥の組み合わせを使って同時に項目調べることがありますが、まれです。この同時算定可のくだり、必要なのでしょうかねえ?

【3】除菌判定
さらに、難解になります。
先の①~⑥を使って除菌の判定をするわけですが、
「①~⑥より1法を用いる。判定が陰性の場合に限り他の検査が1つだけ認められる」
「④⑤⑥の検査を同時に実施した場合2つに限り同時算定可」
「④(抗体測定)は除菌前後で定量計測する。除菌後の抗体陰性化には6カ月以上要する。」

①②③ともサンプリングエラーの可能性があるわけですから、除菌治療の判定に「点」による判定方法は好ましくありません。私は、除菌の判定には、最も正確とされている⑤(尿素呼気試験)を第一選択にしています。自由診療で除菌された方は、比較的費用のかからない⑥(便中ピロリ菌抗原測定)を選択しています。

④(抗体測定)は除菌後6カ月経過し、前値に比べて1/2以下に低下していれば、除菌成功と判定します。ですから、除菌後の抗体が陽性でも、除菌出来ている場合があります。このあたりが間違った説明を受けている方を時々見かけます。
④(抗体測定)をおこなう時は、抗体価が出る血液を用いるべきでしょう。尿は抗体価が出ないために、治療前後で比較出来ません。
また、④(抗体測定)は、プロトンポンプインヒビター(PPI)の影響を受けませんので、除菌判定中に、逆流性食道炎等でPPIを内服している場合には、唯一使える検査法です。

いずれにしても、これらの診断、治療、判定の流れが誰にでも分るようにレセプトに明記する必要があります。

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診療報酬シリーズ(18)   誰が審査するのか?

日曜日, 3 月 1st, 2015

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以前、重症急性膵炎の方で、「CRP(炎症反応物質)」が「過剰診療」との判断で査定されたことがありました。
私は急性膵炎を研究テーマとして仕事をしてきましたので、CRPが査定されたことに納得がいきませんでした。急性膵炎の最初の「重症度判定基準」の項目にはCRPは入っていませんでしたが、10年近い月日を経て、CRPが重要な指標になることが認知され、改訂版「重症度判定基準」に採用されることになったのです。その過程には、さまざまな臨床研究が積み重ねられていたのです。

審査をする人は急性膵炎の「重症度判定基準」にCRPが追加されたことを知っておられるのだろうか?
消化器内科に詳しい医師が審査されているのだろうか?
そもそも、医師が審査してくださっているのだろうか?
といった疑問がわいてきたのです。

保険者(国民健康保険、社会保険)は審査支払機関(民間法人)に審査を委託しています(国民健康保険連合会や社会保険診療報酬支払基金という名前です)。その審査員は開業医であったり、勤務医であったりするみたいです(詳しいことは知りません)。少なくとも、「レセプト審査のプロ」という方が選ばれているわけでは無いようです。さらに、審査の前に事務側が「予備審査」をされているようです。膨大なレセプトの量を限られた医師ですべてチェックすることは不可能ですから、当然です。この予備審査で「不適切」と判断されたレセプトだけが、審査員の手元に届けられるようです。

この予備審査は、審査支払機関に派遣された医療事務会社の社員が代行しています。当院も医療事務会社と契約していますが、とても優秀な方がレセプトをチェックして下さっています。医療事務は国家資格が無いので、個人の能力の差がとても大きいです。予備審査を担当される方々はどうでしょうか。わかりません。

このように推理していきますと、レセプトに出来るだけ丁寧に分かりやすい症状詳記をつけておく必要があると思います。

振り返って、自分の査定されたレセプトにおいても、「重症急性膵炎」は死亡率の高い難病であること、「重症度判定基準」というものがあるということ、最近、判定基準項目にCRPが追加されたことなどを、丁寧に症状詳記に書いていたならば、もしかしたら、その必要性を理解して頂いていたかも知れません。

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診療報酬シリーズ(17)  症状詳記

月曜日, 3 月 10th, 2014

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img_79551レセプトを審査する方に、診療の内容を正しく理解して頂くために「詳記」を付けることがあります。面倒な作業なのですが、怠ると査定される可能性が高くなります。一度、文章を完成させておけば、何度でも使い回しができますので、面倒がらずに丁寧な説明文を付けることをお勧めします。
思いつくままに、いくつか例を挙げます。

① 胃潰瘍の病名があると、NSAIDsの処方は査定されます。
この組み合わせが禁忌であることは、先生方も良くご存知だと思います。しかし、胃潰瘍で通院中に、風邪薬を希望された場合など、つい処方してしまいます。ところで、逆流性食道炎にNSAIDsは禁忌ではありません。つまり、PPI(またはH2RA)とNSAIDsを同時に処方していても、病名が違えば、査定されたり、されなかったりするわけです。「目からウロコ」でしょう?

② 常用量を超えて処方する場合、詳記が必要です。
【その1】 高脂血症の治療薬のメバロチンですが、常用量は1日10mg(1錠)です。重症の場合は、1日20mgまでの投与が可能です。この「重症の場合は」の文言がミソなのです。20mgを処方する場合は、『重症高脂血症』の病名と詳記が必要です

【その2】 逆流性食道炎に対してタケプロン長期処方する場合、1日15mgが常用量ですが、効果不十分な場合に限って30mgまで増量できます。ですから、30mgを長期に処方する場合は、「15mgでは効果不十分であった」旨の詳記が必要になります

【その3】 DPP-4阻害薬であるジャヌビアの常用量は1日50mgですが、効果不十分であれば、100mgまで増量可能です。しかも、ジャヌビアは薬価が高いので、査定された時はそれなりの覚悟が必要です。100mgを処方する場合は、「50mgでは効果不十分であった」旨の詳記を付けた方が無難です

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診療報酬シリーズ(16)  雑感

月曜日, 8 月 5th, 2013

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思いつくままに、最近知った幾つかの知見をお話します。

時間外に来院したという理由だけでは「時間外加算」は算定出来ません。
診療の時間外に急遽診察しなければならない事情があり、それが分る病名が必要です。受付時刻もレセプトに記入しておく必要があります。診療時間を過ぎて来院され、通常の診療をおこなった場合は、「時間外加算」は取れません。なお、昼休み時間の診療も「時間外加算」は取れません。

往診や訪問診療は必ず「診療の要点」をカルテに残しておくこと。
往診先ではカルテの記載がおろそかになりがちです。電子カルテは持っていけないので、なおさらです。医院に帰宅後、診療内容を思い出しながら、要点を記録しておく習慣を身につけましょう。「診療の要点」の記載が無いと、全額返金という事態になりかねません。

プロトンポンプインヒビター(PPI)の投薬日数制限はきっちりと。
胃潰瘍なら8週間、十二指腸潰瘍ならば6週間という具合にPPIは投与日数に制限が設けられています。8週間ということは要するに2カ月です。ですから、30日分処方をして、次もう1回30日分処方すると、合計60日分処方したことになるので、査定されます。きちんと、56日分だけ処方してください。

ヘリコバクターピロリ感染症の診断方法の落とし穴
尿、血液、便、胃粘膜、呼気、など様々な検体からヘリコバクターピロリ感染の有無について調べることが出来ます。最初の検査で陰性と出た場合は、別の検査方法でもう一度検査することが認められています。しかし、尿と血液は注意が必要です。尿と血液では検体は違いますが、どちらも「抗体測定」という意味では同じ検査になりますので、「別の検査」になりません。ご注意ください。

初診で血糖チェックなしでのHbA1cは査定されます。
「健診で血糖が高いと言われました。」とか「食事してきています。」などの状況では、つい、血糖測定なしでHbA1cだけを測定しがちです。血糖測定にそれ程意味がないからです。ところが、審査する方は、「血糖測定もしないで、いきなりHbA1cの測定は過剰診療である。」と判断し、査定の対象となります。

【余談】
当院では、毎月1回、レセプト提出の前に専門家のチェックを受けています。当院に来て頂いて、半日、事務室で提出前のレセプトを点検して頂きます。その時に、診療の合間に事務室に顔を出して(短い時間ですが)、いろいろためになる話を聞くことが出来ます。診療点数算定の国家資格はありません。それを専門にしていても、世間的には通常の事務職扱いです。それだけに、診療点数に詳しい方とそうでない方では、レセプトの完成度に大きな差が出ると思います。

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診療報酬シリーズ(15)  複雑な在宅医療

火曜日, 5 月 28th, 2013

このシリーズは、開業4年目の私の知識が、母校の新規開業した先生、あるいは、開業を控えている先生のお役にたてればと思い始めました。その対象でない方は読んでも面白くありませんので、予めご了承ください。
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高齢化が進み、かつ、入院ベット数を減らす政府の方針から、在宅医療のニーズが高まっています。政府は開業医が在宅診療に目を向けるように高い保険点数を付けています。しかし、在宅医療の算定は非常に複雑です。算定の誤りや、カルテの記載不備などがあれば、個別指導時に「自主返還(実際は強制返還ですが)」を求められます。私も、数名ではありますが、在宅医療をおこなっています。経験した幾つかの注意事項をあげてみます。

【往診と在宅医療の区別】
往診(720点)は急に依頼が来て出向くもので、在宅患者訪問診療(830点)は計画的に訪問診療をすることです。往診も訪問診療もまったく同じ医療行為ですが、点数が異なります。例えば、往診に行くことが昨日から予定されていれば訪問診療で、今日、急に決まったならば往診です。

【在宅医療計画書】
訪問診療では、在宅医療計画書を作成して患者さんに渡しておく必要があります。この書類がないと、在宅医療の算定分は全額返金しなければいけない事態になります。カルテに控えを残しておいてください。これほど重要なことを「診療点数早見表」では、小さな字で1行書いてあるだけです。悪意すら感じます。
訪問診療を始める際に、「在宅支援診療所」の施設基準を取得されると思います(意外なほど簡単に、施設基準は取れます。)。届けを出す際に、在宅医療計画書のひな型も提出しなければいけないのです。ここが味噌ですね。

【在宅時医学総合管理料】4,500点(1回/月)
月に2回以上訪問診療をおこなえば、この管理料が加算出来ます。
例えば、月に1回の訪問診療をおこなうと、830点ですが、月に2回おこなうと、830x2(1,660点)+4,500点6,160点に跳ね上がります。不思議ですね。「最低、月に2回程度は患者さんを訪問してください。」という意味なのでしょうか。

【在宅がん医療総合診療料】1,685点(1日あたり)
1週間のうち(日曜~土曜)に、医師の訪問診療も訪問看護も1回以上あり、かつ、その合計が4回以上あれば、7日分が算定できます(合計4日しか医療行為をおこなっていなくても、7日分算定可能)。不思議ですね。

【算定できるけど、しないという方法】
例えば、24時間体制で管理しなくても良いような状態の患者さんには、在宅支援診療所としての料金ではなく、一般の診療所の往診という算定でもいいのです。そのかわり、管理体制を厳しく審査されることはありません。

当分、高額な保険点数は続くと思いますが、在宅医療が普及すれば、速やかに減点されていくでしょう。目先の点数に惑わされず、自分の診療スタイルを確立したいと思います。

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診療報酬シリーズ(14)   ヘリコバクターピロリ胃炎

水曜日, 4 月 3rd, 2013

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img_79551平成25年2月よりヘリコバクターピロリ胃炎に対する除菌療法が保険収載されました。ただし、レセプトに内視鏡の所見を記載することが義務付けられました。

これまでは、ヘリコバクターピロリ感染症は胃潰瘍や十二指腸潰瘍が存在しないと調べることが出来ませんでした(一部例外あり)。日本消化器病学会雑誌にもコメントが載っていましたが、実際の診療の場においては、内視鏡検査をした際に、胃潰瘍がなくても、萎縮性胃炎が強い場合、ヘリコバクターピロリ感染の有無を調べている医療機関がほとんどのようです。ですから、つじつま合わせのために、いわゆるレセプト病名として「胃潰瘍」と記載されていたわけです。

これからは、「ヘリコバクターピロリ胃炎」の病名だけで除菌療法が出来ますので、大変良いことだと思います。ただし、その都度、内視鏡所見をレセプトに記載するのは、かなりの労力を要します。これも正しい医療が行われるためには仕方ないですね。

【教訓】ヘリコバクターピロリ胃炎は内視鏡所見の説明が不可欠である。

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診療報酬シリーズ(13)  特定疾患管理料

木曜日, 12 月 20th, 2012

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img_79551特定疾患を主病名に診療をおこなった場合、月に2回まで「特定疾患管理料」を算定すること可能です。

特定疾患のリストは診療点数早見表(p167)に掲載されています。リストをみますと、生活習慣病を中心にした慢性疾患と悪性疾患が主になります。ただし、慢性胃炎や胃潰瘍は該当するのに、「逆流性食道炎」は非該当ですし、高脂血症は該当するけれども「高尿酸血症」は該当しないなど、その基準に「?」マークがつきます。

特定疾患管理料はクリニック、小規模病院、中規模病院でそれぞれ、225点 147点、87点と決められています。200床以上の大病院では特定疾患管理料は算定されません。この点数配分から、生活習慣病や慢性疾患はクリニックに担当させようという意図を感じます。一方、患者さんの立場からすると、大病院で診てもらった方がこの管理料が発生しない分医療費は安くなります。ですから、大病院の待ち時間が長いことは承知の上で、大病院を選ばれる方もいらっしゃるかも知れません。

なお、この「特定疾患管理料」は初診から1カ月を経過した時点で算定できます。特定疾患の病名が付いた時点から1カ月ではありません。ご注意ください。

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