4 月 10 日, 2018

ブログで診察(20)  ピロリ菌の除菌の最適年齢は?

いつものブログ先生です。体のチョッとした不調や気になる症状、一度、医師に聞いてみたかったことなどを日々の診療からピックアップしてブログで紹介しています。

質問】私自身がピロリ菌に感染していることがわかりました。子供たちの検査や治療はどうしたらいいでしょうか(40代女性)。

【答】お子さんがピロリ菌に感染していれば、高校生・大学生のうちに除菌を受けるのが良いでしょう。

ピロリ菌はお母さんが離乳食を口移しで与えることでお子さんに感染することが最も多いと考えられています。心当たりがある方はお子さんも調べてみるべきです。
1.診断
検査の精度からは、便で調べるか、呼気試験をお勧めします。保険診療では、内視鏡検査が必要ですので、自由診療でピロリ検査だけを受けることも可能です。費用は、一般的に便の方が呼気試験よりもかなり安いです。
2.除菌のベストタイミング
除菌は早ければ早いほど有用です。また、次の世代への感染を予防するという意味からは結婚前が良いでしょう。ですから、高校生・大学生の時期が除菌のベストタイミングと思います。

【ご参考までに】 便中ピロリ抗原 3,000円+消費税  尿素呼気試験 12,000円+消費税 (当院の自由診療)

3 月 30 日, 2018

平成29年診療報告より(6) 胃がん検診

鼻からも胃がん検診出来ますよ。平成29年に50名の方が胃がん検診を受けられました。

北九州市の胃がん検診はこれまでは胃透視のみでしたが、平成28年10月より「胃内視鏡検査」が導入されました。
50歳以上の方が対象で、検査料は1,000円(70歳以上は無料)です。検診は2年に一度受けることが出来ます。
当院は胃がん内視鏡検診の実施医療機関です。検査の予約は電話でお受けしています。
なお、胃がん検診では、ピロリ菌の検査は出来ません。ピロリ菌診断は、別途に保険診療でお受けします。

3 月 20 日, 2018

平成29年診療報告より(5) 大腸ポリープ

大腸カメラってこんな感じです。平成29年に1,042名の方が大腸カメラを受けられました。そのうち、大腸ポリープ切除術を受けた方が186名いらっしゃいます。

【大腸ポリープの癌化率】
大腸ポリープ* の何%が癌化するのでしょうか。ポリープの大きさと癌化率の関係です。
1~5mm大:0.5%
6~10mm大:13.2%
11~20mm大:50.8%
21mm~:66.6%
大きくなればなるほど、癌になるリスクは大きくなるわけです**。ですから、あまり大きく育たないうちに、出来れば見つけ次第、ポリープ切除をしておくことが必要です。これらのデータを元に当院では積極的にポリープ切除をおこなっています。

【コールドポリペクトミーの導入(写真参照ください)】
通常のポリープ切除は、粘膜下に生理食塩水を局注し、ポリープを浮かせた後にスネアをかけ、通電することで焼灼切除しています。焼灼後に出来た粘膜の傷はクリップで縫合します。
一方、平成29年から導入したコールドポリペクトミーは、生理食塩水を局注せず、そのままスネア切除します。この際、通電もしません。一見、乱暴な治療に見えますが、粘膜の浅い所には、細い血管しかないため、重篤な出血は来しません。通電しないため、遅発性の出血のリスクは回避されます。当院では、通常のポリープ切除とコールドポリペクトミーをポリープの大きさや形によって適切に使い分けています。                                                                                                                                                                                                                                                                *大腸ポリープの85%は腺腫です。腺腫の癌化率について説明しています。
**今回提示したポリープの癌化率は広基性(Ⅰs)ポリープについてのデータです。

大腸ポリープ

コールドポリペクトミー

3 月 10 日, 2018

平成29年診療報告より(4) PTP包装シートの誤飲

カメラの先端の透明フードに注目!平成29年に1名の方が錠剤をPTP包装シートも一緒に誤って飲んだ方がいらっしゃいました。
内視鏡で観察すると、PTP包装シートのとんがった角が食道粘膜の対角線上にしっかり突き刺さっていました。一旦、カメラを抜去し、カメラの先端に透明フードを装着し、再度、カメラを飲んでもらいました。PTP包装シートを把持鉗子でしっかり掴み、フード内に持ち込み、そのままの状態でカメラを抜去し無事にPTP包装シートを回収することが出来ました。

もし、フードを付けずに回収しようとすると、食道に縦に深い傷が入ります。そればかりか、食道入口部は生理的に狭いので、そこで引っかかると、にっちもさっちもいかなくなります。非常に危険なのです。

一見、何の変哲もないフードですが、適度に柔らかく、先端が斜めにカットしてあるため、カメラの挿入が楽におこなえます。大きなものも回収できるように径がカメラの直径よりも大きく作られています。完成度の高いフードだとしみじみと思います。

【参考までに】PTP包装シートは、誤飲を防ぐために、ミシン目が縦か横にしか入っていません。決して1錠ずつには出来ない様になっているのです。ですから、わざわざハサミでシートを切らないでください。

2 月 28 日, 2018

平成29年診療報告より(3) すい臓がん

すい臓は120g程度の小さな臓器です。平成29年はすい臓がんの方が3名いらっしゃいました。
①60代女性 腹痛と背部痛にて来院。体重減少2kg。エコー検査で4cmの腫瘤が見つかりました。

②60代女性 腹痛と嘔気が続くため来院。CT検査で診断しています。

③70代男性 3日間食事がとれないため来院。エコー検査で胃拡張を認め、その原因を調べるためCTを施行し診断しています。

注意点
食事との関連の無い腹痛(鈍痛)のことが多いです。
積極的に造影CTをおこなうことが大事です。単純CTではすい臓がんは見つかりません。
手術できるのは1~2cm以下です。
すい臓がんによる死亡者数は、全部のがんの中で第4位と意外に多いです。

私見
特定健診や後期高齢者健診にすい臓の項目はありません。「健診で異常が無いからすい臓も大丈夫」とは言えないのです。
すい臓の病気はアミラーゼを測定することが一般的ですが、アミラーゼの半減期は2~4時間と短いため、急性期を過ぎると直ぐに正常値になってしまいます。急性すい炎をおこして翌日病院を受診した時に、まだすい臓に炎症があるにもかかわらず、血中のアミラーゼ値は正常ということがしばしば見受けられます。つまり、血液検査ではすい臓の病気は見つかりにくいのです。(むしろ、中途半端にアミラーゼの測定をしない方が良いと思います。)
すい臓の前面は漿膜に覆われていますが、後面は漿膜がありません。これが、すい臓がんの進行が速い一因と思います。すい臓は漿膜に完全には覆われていない”裸の臓器”なのです。漿膜はサランラップみたいなイメージです。

2 月 18 日, 2018

平成29年診療報告より(2) 原発性アルドステロン症

高血圧症の5%程度に存在すると言われている「原発性アルドステロン症」。この病気の可能性のある患者さんが5名いらっしゃいました。

症例     アルドステロン        レニン       アルドステロン・レニン比
❶ 30代女性       291.9       0.9         324
❷ 50代男性    142.4       0.5        285
❸ 40代男性    121.8       0.6        203
④ 40代男性    155.2       0.7        221
❺ 30代男性    158.4       0.7        226
*原発性アルドステロン症のスクリーニング判定基準は、アルドステロンが120(pg/mL)以上かつアルドステロン・レニン比が200以上です。
レニン・アルドステロン系

この5人の方は皆さん大学病院で詳しく診て頂きました。その結果、原発性アルドステロン症と診断された方は、④番の方のみでした。ただし、④番の方も、副腎静脈採血が完全には遂行できなかったため腫瘍が見つけられず、降圧剤の内服治療となっています。

原発性アルドステロン症を早期に診断すれば、腫瘍を摘出することによって血圧は正常化し、降圧剤を飲み続ける必要が無くなります。早く発見すれば、高血圧症による障害も回避出来ます。ただし、アルドステロンを産生する副腎腫瘍は小さいため(1mm大のこともあります)、見つけにくいのです。

これからも、比較的若い方や急に血圧が上がった方などには積極的にレニン・アルドステロンを測定していこうと思います。

2 月 8 日, 2018

平成29年診療報告より(1) グループ2からグループ5へ

「イチ、ニ、サン、シ、ゴー」胃カメラで採取してきた胃粘膜病変の診断に「グループ分類」がおこなわれます。
グループ1 正常
グループ2 腫瘍性か非腫瘍性か判断が難しい
グループ3 腺腫
グループ4 がんが疑わしい腫瘍
グループ5 がん
昨年(平成29年)生検でグループ2と診断された方で最終的にグループ5(がん)に診断が変わった方が1名いらっしゃいました。

この方は、胃の真ん中あたりに、小さなびらん(ただれ)がありました。特に悪性の印象は無かったのですが、「単発」という点が気になりました。一般的にはびらんはいくつか散在しているものです。生検ではグループ2と診断されました。3か月後の再検査でも、グループ2でしたが、さらに6カ月後に行った度目の検査で「グループ5」と診断されました。
その後、総合病院で早期胃がんの内視鏡治療を受けられました。
粘り強く、繰り返し検査を受けて良かったですね。

1 月 24 日, 2018

ポリペクトミーとクリップ

内視鏡クリップ装置です。大腸ポリープを内視鏡的に切除する大腸ポリペクトミーでは、
① ポリープの根元に生理食塩水を局注する。
② スネアをかけ、通電する(焼き切る)。
③ 傷口をクリップで縫合する。
の手順でおこないます。
最後のクリップ縫合ですが、多い時は、5回、6回となる事もあります。クリップを装着し、内視鏡の鉗子孔に入れていきます。クリップがカメラの先端から出てきたら、傷口にクリップをかけます。装置を回収したら新しいクリップを装着し、同じ処置を繰り返します。
これまでは、看護師さん一人でおこなっていたのですが、クリップ装置2台と看護師さんを2人にすれば、クリップをかけている最中に、次のクリップの準備が出来ます。そうすると、間隔が短くなり、ポリペクトミーの時間短縮になります。
これは名案と自画自賛し、早速取り入れてみました。

しかし、看護師さんから「自分でセットしたクリップを自分の手で先生に渡したい。」という意見が出たために、中止しました。そこまで、情熱をもって介助してくれていたのです。その気持ちを大事にしたいと思います。

1 月 14 日, 2018

クラウド

クラウドです。内視鏡検査の画像をハードディスクに保存してきたのですが、満杯になったため、外付けハードを足してしのいできました。しかし、とうとう限界が来たため、クラウド化することにしました。日本のどこかの2か所にデータが保存されていて、必要時に呼び出せるようになっています。
クラウドの場所は、地震、津波のリスクが低くて、土地代の比較的安い地方都市で東日本に1か所、西日本に1か所づつあるらしいのです。私の住んでいる北九州市はその候補に入りそうな気がします。案外、クリニックのすぐ近くだったりするかもしれません。

初めて「クラウド」って聞いた時、てっきり空の雲にデータを保存するものと思っていました。

1 月 4 日, 2018

平成29年 診療報告

平成29年も多くの方に当クリニックを受診して頂きました。
本当にありがとうございました。
皆様に当院をより深く知って頂くために、昨年1年間の診療内容をご報告いたします。

1)内視鏡検査を受けた方が、2,312名います。
胃カメラを受けた方   1,270名
大腸カメラを受けた方   1,042名
『胃腸ドック』を受けた方   1名

食道がんが見つかった方が 2名 います。

北九州市の胃がん検診を受けた方が50名います。                                     胃がんが見つかった方が6名います。                                           (最年少は28才の方でした。)
(最初の生検はGroup2だったのに、再検査でGroup5(がん)にかわった人が1名います。)                                                   (微小胃がんの方が1名います。)                                            胃マルトリンパ腫の方が1名します。                                           胃拡張の方が2名います。
PTP包装シートの誤飲の方が1名います。

大腸がんが見つかった方が18名います。
(最年少は33才の方です。)                                              (6名の方は粘膜内がんであったため、内視鏡治療で完治しています。)                          (2名の方はわずかな粘膜下層までの浸潤であったため、内視鏡治療で完治しています。)                   大腸ポリープ切除術を受けた方が186名います。

2)ヘリコバクターピロリ感染症  除菌に成功した方が146名います。
ヘリコバクターピロリ菌に感染している場合、まず1次除菌をおこないます。1次除菌で菌が消えなかった場合は2次除菌をおこないます。2次除菌でも消えなかった場合、3次除菌を勧めています。                               1次除菌で菌が消えた方が118名います。
2次除菌で菌が消えた方が27名います。
3次除菌で菌が消えた方が1名います。

3)炎症性腸疾患
潰瘍性大腸炎の方が65名います。                                                        (1名の方は生物学的製剤(ヒュミラ)の投与を受けています。)                               クローン病の方が8名います。
(6名の方は生物学的製剤(レミケード)の投与を受けています。)

4)細菌性腸炎
便の培養検査で細菌が検出された方が16名います。
一番多かったのは病原性大腸菌(15名)で、次に多かったのが黄色ブドウ球菌(4名)、サルモネラ菌(1名)でした。                                                            病原性大腸菌のうち1名はベロ毒素を産生する腸管出血性大腸菌でした。

5)急性虫垂炎に方が6名います。
4名は手術になりました。

6)ジスト(GIST:消化管間質腫瘍)の方が2名います。
胃GISTの方が1名います。
小腸GISTの方が2名います。
(内服治療(グリベック)を受けた方が1名います。)

7)肝臓の病気
急性肝炎(原因不明)で肝移植術を受けた方が1名います。                                 B型肝炎に対する抗ウイルス剤(エンテカビル)の投与を受けた方が5名います。
原発性胆汁性肝硬変症の方が12名います。
自己免疫性肝炎の方が2名います。

8)胆道疾患
胆石が見つかった方が34名います。
(9名が手術を受けられました。)
総胆管結石の方が4名います。
胆道ジスキネジアの方が1名います。

9)すい臓の病気
急性すい炎の方が1名います。                                              慢性すい炎の方が7名います。
すい臓がんの方が3名います。                                              すい石の内視鏡的摘出術を受けた方が1名います。                                     すいのう胞の方が1名います。                                              輪状すいの方が1名います。

10)糖尿病
インスリン注射を受けた方が3名います。
インクレチン関連薬(DPP-4阻害薬)の治療を受けた方が61名います。

11)甲状腺の病気の方が12名います。
甲状腺機能亢進症(バセドウ氏病)  1名
甲状腺機能低下症(橋本病)  11名

12)禁煙外来を受けた方が31名います。

13)インフルエンザにかかった方が40名います。

14)24時間心電図を受けた方が7名います。
1名はペースメーカー植え込み術を受けられました。

15)睡眠時無呼吸症候群の検査を受けた方が4名います。
持続陽圧呼吸療法を受けた方が5名います。

16)スパイログフィー検査(肺気量分画測定)を受けた方が5名います。

17)その他の疾患
腎臓がん                                                              原発性アルドステロン症
ランタン沈着症                                                      フィッツフューカーティス症候群                                                 腹部大動脈瘤


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