2 月 28 日, 2018

平成29年診療報告より(3) すい臓がん

すい臓は120g程度の小さな臓器です。平成29年はすい臓がんの方が3名いらっしゃいました。
①60代女性 腹痛と背部痛にて来院。体重減少2kg。エコー検査で4cmの腫瘤が見つかりました。

②60代女性 腹痛と嘔気が続くため来院。CT検査で診断しています。

③70代男性 3日間食事がとれないため来院。エコー検査で胃拡張を認め、その原因を調べるためCTを施行し診断しています。

注意点
食事との関連の無い腹痛(鈍痛)のことが多いです。
積極的に造影CTをおこなうことが大事です。単純CTではすい臓がんは見つかりません。
手術できるのは1~2cm以下です。
すい臓がんによる死亡者数は、全部のがんの中で第4位と意外に多いです。

私見
特定健診や後期高齢者健診にすい臓の項目はありません。「健診で異常が無いからすい臓も大丈夫」とは言えないのです。
すい臓の病気はアミラーゼを測定することが一般的ですが、アミラーゼの半減期は2~4時間と短いため、急性期を過ぎると直ぐに正常値になってしまいます。急性すい炎をおこして翌日病院を受診した時に、まだすい臓に炎症があるにもかかわらず、血中のアミラーゼ値は正常ということがしばしば見受けられます。つまり、血液検査ではすい臓の病気は見つかりにくいのです。(むしろ、中途半端にアミラーゼの測定をしない方が良いと思います。)
すい臓の前面は漿膜に覆われていますが、後面は漿膜がありません。これが、すい臓がんの進行が速い一因と思います。すい臓は漿膜に完全には覆われていない”裸の臓器”なのです。漿膜はサランラップみたいなイメージです。

2 月 18 日, 2018

平成29年診療報告より(2) 原発性アルドステロン症

高血圧症の5%程度に存在すると言われている「原発性アルドステロン症」。この病気の可能性のある患者さんが5名いらっしゃいました。

症例     アルドステロン        レニン       アルドステロン・レニン比
❶ 30代女性       291.9       0.9         324
❷ 50代男性    142.4       0.5        285
❸ 40代男性    121.8       0.6        203
④ 40代男性    155.2       0.7        221
❺ 30代男性    158.4       0.7        226
*原発性アルドステロン症のスクリーニング判定基準は、アルドステロンが120(pg/mL)以上かつアルドステロン・レニン比が200以上です。
レニン・アルドステロン系

この5人の方は皆さん大学病院で詳しく診て頂きました。その結果、原発性アルドステロン症と診断された方は、④番の方のみでした。ただし、④番の方も、副腎静脈採血が完全には遂行できなかったため腫瘍が見つけられず、降圧剤の内服治療となっています。

原発性アルドステロン症を早期に診断すれば、腫瘍を摘出することによって血圧は正常化し、降圧剤を飲み続ける必要が無くなります。早く発見すれば、高血圧症による障害も回避出来ます。ただし、アルドステロンを産生する副腎腫瘍は小さいため(1mm大のこともあります)、見つけにくいのです。

これからも、比較的若い方や急に血圧が上がった方などには積極的にレニン・アルドステロンを測定していこうと思います。

2 月 8 日, 2018

平成29年診療報告より(1) グループ2からグループ5へ

「イチ、ニ、サン、シ、ゴー」胃カメラで採取してきた胃粘膜病変の診断に「グループ分類」がおこなわれます。
グループ1 正常
グループ2 腫瘍性か非腫瘍性か判断が難しい
グループ3 腺腫
グループ4 がんが疑わしい腫瘍
グループ5 がん
昨年(平成29年)生検でグループ2と診断された方で最終的にグループ5(がん)に診断が変わった方が1名いらっしゃいました。

この方は、胃の真ん中あたりに、小さなびらん(ただれ)がありました。特に悪性の印象は無かったのですが、「単発」という点が気になりました。一般的にはびらんはいくつか散在しているものです。生検ではグループ2と診断されました。3か月後の再検査でも、グループ2でしたが、さらに6カ月後に行った度目の検査で「グループ5」と診断されました。
その後、総合病院で早期胃がんの内視鏡治療を受けられました。
粘り強く、繰り返し検査を受けて良かったですね。

1 月 24 日, 2018

ポリペクトミーとクリップ

内視鏡クリップ装置です。大腸ポリープを内視鏡的に切除する大腸ポリペクトミーでは、
① ポリープの根元に生理食塩水を局注する。
② スネアをかけ、通電する(焼き切る)。
③ 傷口をクリップで縫合する。
の手順でおこないます。
最後のクリップ縫合ですが、多い時は、5回、6回となる事もあります。クリップを装着し、内視鏡の鉗子孔に入れていきます。クリップがカメラの先端から出てきたら、傷口にクリップをかけます。装置を回収したら新しいクリップを装着し、同じ処置を繰り返します。
これまでは、看護師さん一人でおこなっていたのですが、クリップ装置2台と看護師さんを2人にすれば、クリップをかけている最中に、次のクリップの準備が出来ます。そうすると、間隔が短くなり、ポリペクトミーの時間短縮になります。
これは名案と自画自賛し、早速取り入れてみました。

しかし、看護師さんから「自分でセットしたクリップを自分の手で先生に渡したい。」という意見が出たために、中止しました。そこまで、情熱をもって介助してくれていたのです。その気持ちを大事にしたいと思います。

1 月 14 日, 2018

クラウド

クラウドです。内視鏡検査の画像をハードディスクに保存してきたのですが、満杯になったため、外付けハードを足してしのいできました。しかし、とうとう限界が来たため、クラウド化することにしました。日本のどこかの2か所にデータが保存されていて、必要時に呼び出せるようになっています。
クラウドの場所は、地震、津波のリスクが低くて、土地代の比較的安い地方都市で東日本に1か所、西日本に1か所づつあるらしいのです。私の住んでいる北九州市はその候補に入りそうな気がします。案外、クリニックのすぐ近くだったりするかもしれません。

初めて「クラウド」って聞いた時、てっきり空の雲にデータを保存するものと思っていました。

1 月 4 日, 2018

平成29年 診療報告

平成29年も多くの方に当クリニックを受診して頂きました。
本当にありがとうございました。
皆様に当院をより深く知って頂くために、昨年1年間の診療内容をご報告いたします。

1)内視鏡検査を受けた方が、2,312名います。
胃カメラを受けた方   1,270名
大腸カメラを受けた方   1,042名
『胃腸ドック』を受けた方   1名

食道がんが見つかった方が 2名 います。

北九州市の胃がん検診を受けた方が50名います。                                     胃がんが見つかった方が6名います。                                           (最年少は28才の方でした。)
(最初の生検はGroup2だったのに、再検査でGroup5(がん)にかわった人が1名います。)                                                   (微小胃がんの方が1名います。)                                            胃マルトリンパ腫の方が1名します。                                           胃拡張の方が2名います。
PTP包装シートの誤飲の方が1名います。

大腸がんが見つかった方が18名います。
(最年少は33才の方です。)                                              (6名の方は粘膜内がんであったため、内視鏡治療で完治しています。)                          (2名の方はわずかな粘膜下層までの浸潤であったため、内視鏡治療で完治しています。)                   大腸ポリープ切除術を受けた方が186名います。

2)ヘリコバクターピロリ感染症  除菌に成功した方が146名います。
ヘリコバクターピロリ菌に感染している場合、まず1次除菌をおこないます。1次除菌で菌が消えなかった場合は2次除菌をおこないます。2次除菌でも消えなかった場合、3次除菌を勧めています。                               1次除菌で菌が消えた方が118名います。
2次除菌で菌が消えた方が27名います。
3次除菌で菌が消えた方が1名います。

3)炎症性腸疾患
潰瘍性大腸炎の方が65名います。                                                        (1名の方は生物学的製剤(ヒュミラ)の投与を受けています。)                               クローン病の方が8名います。
(6名の方は生物学的製剤(レミケード)の投与を受けています。)

4)細菌性腸炎
便の培養検査で細菌が検出された方が16名います。
一番多かったのは病原性大腸菌(15名)で、次に多かったのが黄色ブドウ球菌(4名)、サルモネラ菌(1名)でした。                                                            病原性大腸菌のうち1名はベロ毒素を産生する腸管出血性大腸菌でした。

5)急性虫垂炎に方が6名います。
4名は手術になりました。

6)ジスト(GIST:消化管間質腫瘍)の方が2名います。
胃GISTの方が1名います。
小腸GISTの方が2名います。
(内服治療(グリベック)を受けた方が1名います。)

7)肝臓の病気
急性肝炎(原因不明)で肝移植術を受けた方が1名います。                                 B型肝炎に対する抗ウイルス剤(エンテカビル)の投与を受けた方が5名います。
原発性胆汁性肝硬変症の方が12名います。
自己免疫性肝炎の方が2名います。

8)胆道疾患
胆石が見つかった方が34名います。
(9名が手術を受けられました。)
総胆管結石の方が4名います。
胆道ジスキネジアの方が1名います。

9)すい臓の病気
急性すい炎の方が1名います。                                              慢性すい炎の方が7名います。
すい臓がんの方が3名います。                                              すい石の内視鏡的摘出術を受けた方が1名います。                                     すいのう胞の方が1名います。                                              輪状すいの方が1名います。

10)糖尿病
インスリン注射を受けた方が3名います。
インクレチン関連薬(DPP-4阻害薬)の治療を受けた方が61名います。

11)甲状腺の病気の方が12名います。
甲状腺機能亢進症(バセドウ氏病)  1名
甲状腺機能低下症(橋本病)  11名

12)禁煙外来を受けた方が31名います。

13)インフルエンザにかかった方が40名います。

14)24時間心電図を受けた方が7名います。
1名はペースメーカー植え込み術を受けられました。

15)睡眠時無呼吸症候群の検査を受けた方が4名います。
持続陽圧呼吸療法を受けた方が5名います。

16)スパイログフィー検査(肺気量分画測定)を受けた方が5名います。

17)その他の疾患
腎臓がん                                                              原発性アルドステロン症
ランタン沈着症                                                      フィッツフューカーティス症候群                                                 腹部大動脈瘤

1 月 1 日, 2018

新年明けましておめでとうございます。

今年は戌年です。謹んで新春のお慶びをし上げます。
皆様のご健康とご多幸をお祈りいたします。早いもので、当院は今年開院10年目を迎えます。これからも皆様のご健康のお役に立てる診療を目指していく所存です。どうか、本年もよろしくお願いいたします。

平成30年1月1日

中野胃腸クリニック 中野重一

12 月 20 日, 2017

胸部レントゲン写真⇒胸部経時差分処理

胸部レントゲン写真です。胸部レントゲン写真を撮った時に、以前の写真と今回の写真を比べることで、初めて異常に気付くことがあります。また、異常が見当たらないレントゲン写真でも、前回と変化が無ければ、さらに確信が持てます。
これまでは、パソコンの画面上に2枚の胸部レントゲン写真を並べて自分の目で確かめていたのですが、この度、それをサポートしてくれるソフト「胸部経時差分処理」を導入しました。
以前からテレビのコマーシャルで放送していたので、気にはなっていたのですが、実際そのソフトが使えるようになると、とても良いですね。
もちろん、最終判断は人間がするわけですが、診断能力の向上、小さな病変の見落としの解消、読影時間の短縮、そして医師のストレス軽減に大いに役立つと思います。

癌の化学療法(抗がん剤投与)に関しては、AI(人工知能)の力を借りた方がより効果的な治療が出来る時代になりました。画像診断も胸部経時差分処理のようにAIがドンドン導入されていくことでしょう。外科手術に関しても、ダビンチの様なロボットを使った手術が普及しつつあります。未来の医師の仕事は大きく変わっていくことでしょう。

12 月 10 日, 2017

オートクレーブ

ピカピカのオートクレーブです!内視鏡機器の洗浄というと、どうしてもスコープの洗浄に注目されがちですが、処置器具の洗浄もスコープと同様に重要であることは言うまでもありません。

当院では、これまで、生検鉗子などの処置器具は、超音波洗浄をおこなった後に、強力な殺菌作用のある消毒液(フタラール)に浸漬してきました。また、「B型肝炎」「C型肝炎」「梅毒」の患者さんに対しては、1回きりで使い捨てのディスポーザブルタイプの生検鉗子を使用することで対応してきましたが、この度、より高度な消毒(滅菌)をおこなうために「オートクレーブ」を導入しました。

オートクレーブは高温(135℃)・高圧水蒸気を用いた滅菌です。オートクレーブにより芽胞を含むすべての病原体を全滅させることが出来ます。 なお、ポリペクトミーの際に用いる「局注針*」「スネア**」は従来よりディスポーザブルを使用しています。

*局注針 粘膜下に生理食塩水を局注し、ポリープを浮かせるための針です。
**スネア ポリープの根元にかけて、通電しながら締めることで、ポリープを焼き切ります。

11 月 30 日, 2017

乗馬日記(12)  手前を変える

ドクターX「私、失敗しないので。」北九州市若松区の「若松乗馬倶楽部」に通うようになって、丸2年が過ぎました。上手に乗れるようになった時に、「そんなことも出来なかったのか。」と懐かしがってみたく乗馬日記を始めました。乗馬の最終目標は、「若松の海岸をさっそうと駆け抜ける」です。

軽速足(けいはやあし)では、鞍の上で、「立つ」「坐る」を繰り返します。馬が左手前(左回り)の時は、右前肢が前に出る時に腰を浮かせます。(右手前なら、その逆です。)馬が左方向に回っていく時は、左肢に重心がかかります。右肢が浮いている時に、人間が鞍の上で立てば、馬はバランスを崩しません。逆に、右肢が浮いた時に、人間が座れば、馬はとても走りづらいのです。
乗馬を始めた頃は、コーチから「手前を変えて!」って言われるまで、全然気づきませんでした。また、馬の肢を目視しないと手前があっているのかいないのか、わかりませんでした。最近、ようやく、手前があっていないと、何となくしっくりこない感覚がわかってきました。
駈足(かけあし)にも同じような現象が起こります。左回りに走る時は、左前肢でリードしていきます。逆だと危険ですので、一旦、駈足を止めます。これも、乗っていて何となくわかるようになってきました。
馬の走り方は、一見左右対称のように見えますが、実はそうではないところが、奥深いのです。


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