Archive for the ‘ヘリコバクターピロリ’ Category

3次除菌とペニシリンを使わない除菌ー8年間のまとめ

木曜日, 8 月 10th, 2017

ピロリ菌見つけました!胃潰瘍や胃がんの大きな要因であるピロリ菌感染ですが、除菌治療によってそれらを予防することが可能です。1次除菌の成功率は90%程度です。もし、不成功であれば、2次除菌を受けます。2次除菌の成功率も90%程度なので、99%の方が除菌することが出来ます

【3次除菌】
なかには、1次除菌も2次除菌も不成功だった方もいらっしゃいます。当院ではこの方々に3次除菌をお勧めしています。3次除菌は保険診療ではないので(全額自費)受ける方は少ないです。開院以来8年間で3次除菌を受けた方は、6名でした。うち2名は未だ判定にみえていません。残りの4名は全員除菌出来ています。皆さん、粘り強く、3次除菌まで付き合ってくださいました。その忍耐力に敬意を表します。

【ペニシリンアレルギー】
1次除菌も2次除菌も抗生物質のペニシリンが入っています。ですから、ペニシリンにアレルギーのある方は使えません。そこで、当院ではペニシリンを用いない除菌療法も提供しています(保険外診療ですので、全額自費です)。開院以来8年間でこの除菌治療を受けた方は、6名でした。そして、6名全員が除菌に成功しています。諦めないで良かったですね。

*先日、開院8周年を迎えました。8年間の診療の証しになるようなものを考えていました。そこで、除菌治療のことを調べてみました。3次除菌を受けた方の100倍以上の方が、1次除菌か2次除菌を受けているわけです。そう考えると、この『3次除菌6名』は私にとって大事な数字です。

ヘリコバクターピロリシリーズ(14)  血中ヘリコバクターピロリ抗体

土曜日, 7 月 2nd, 2016

ピロリ菌、発見!血中ヘリコバクターピロリ抗体価(10 U/mL以上が陽性)の経過を数年にわたって観察している患者さんがいらっしゃいます。これまでは、抗体価がグレーゾーン(3.0~9.9)の範囲だったのですが、今年は、陰性(3.0未満)になりました。胃の中のピロリ菌が消滅した後、いったい、どれぐらい経過すれば、血中のピロリ抗体は消えるのだろう。といつも疑問に思っていました。

ヘリコバクターピロリ抗体陽性(10 U/mL以上)は、
現在、ピロリ菌に感染していることを意味します。
一方、抗体陰性(10 U/mL未満)は、
①未感染 あるいは ②既往感染 を意味します。

未感染の抗体価はもれなく3.0未満です。
除菌が成功すると、抗体価は除菌後2~3年で10 U/mL未満(グレーゾーン)になり、
さらに、除菌後9年前後で3 U/mL未満(陰性)になります。

ですから、抗体価が3.0未満でも「未感染」と断定は出来ないのです。

健診で血中ヘリコバクターピロリ抗体を測定するようになってきました。陽性ならば、ピロリ菌感染ですから、胃カメラを受けて、除菌治療へ進めていくことは、胃がんの予防のためにも非常に重要です。
では、抗体が陰性だった人はどうなるのでしょうか? ピロリ菌未感染ではなく、既往感染の可能性もあります。既往感染の方も胃がんのハイリスクグループですから、胃の検査を受けないと危険です。このあたりの判断が難しいですね。

【追伸】このブログの参考資料にした論文は私と同じ開業医の先生の執筆です。開業してもなお、医学論文を仕上げるなんてスゴイですね。

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ヘリコバクターピロリシリーズ(13) 除菌後の胃がん

水曜日, 5 月 18th, 2016

ピロリ菌の電子顕微鏡写真です。先日、検診(胃透視)で異常を指摘され、当院で胃カメラを受けて、早期胃がん(低分化型胃がん)が見つかった方がいらっしゃいました。実は、この方、すでに除菌を済ませておられました(時期:不詳)。

一般的には、ピロリ菌感染を契機に萎縮性胃炎が進行し、胃がん(分化型胃がん)が発症します。しかし、低分化型胃がんはこのルートとは違います。
ピロリ菌感染はしているものの、萎縮は目立たない(ABC分類ではB群に相当します)、しかし、胃炎は強い人、具体的には“ひだ肥大型胃炎”の人は低分化型胃がんの発症するリスクが高いことが指摘されています。
胃がんに占める低分化型の比率は、20%程度ですが、B群のそれは40%程度と高いのです。
低分化型胃がんは分化型胃がんよりも悪性度が高く、早期がんであっても内視鏡治療の適応とならない場合が多く、原則、外科手術となります。それ故に、低分化型胃がんは、早い時期に見つける必要があります。ピロリ菌感染はしているものの萎縮性胃炎ではないから、胃がんの心配は無いと判断するのは危険です。

比較的若い年齢のうちに除菌治療を済ませ、胃がんのリスクを低くしたうえで、除菌後も継続して定期的な胃カメラを受けることが望ましいということですね。

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平成27年診療報告から(3)  除菌療法の進化

水曜日, 3 月 30th, 2016

平成27年も沢山の方にヘリコバクターピロリ菌の除菌治療を受けて頂きました。平成27年の除菌治療に関する最も大きなニュースは「タケキャブの導入」でしょう。これまでの1次除菌の成功率は全国平均が75%程度でした。しかし、除菌治療の3剤の内のひとつであるプロトンポンプインヒビター(PPI)にタケキャブを使えるようになって、除菌成功率は90%以上に上昇したのです。従来のPPIに比べて、タケキャブの方が、胃酸分泌抑制能力が圧倒的に強いからです。

平成27年7月以降、当院ではPPIをタケキャブに変更しました。除菌成功率をタケキャブ採用前後で比較してみました。
従来の1次除菌の成功率63%(99人/156人中)であったのに対し、タケキャブ導入後は95%(53人/56人中)と飛躍的に向上しました(グラフ参照)。

なお、2次除菌について、同様の比較検討をおこなったところ、92%(34人/37人中)から100%(12人/12人中)となっています。タケキャブって凄いですね。
まだ、除菌を受けていない方、この高い成功率をみてください。是非、除菌しましょう!

【グラフの説明】
縦軸:成功率(%)
横軸:(1)旧1次除菌(タケプロン、他) (2)新1次除菌(タケキャブ、他)

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ヘリコバクターピロリシリーズ(12) ABC検診

水曜日, 7 月 15th, 2015

血液検査だけで胃がんにかかりやすい人を拾い上げようとする検診が「ABC検診」です。

ペプシノゲンは胃粘膜で作られますが、胃の萎縮(老化)が進むと、産生が低下します。血液中のペプシノゲンⅠが基準値以下で、かつ、ペプシノゲンⅠ/Ⅱ比が基準以下の場合をペプシノゲン陽性と表現します。つまり、胃粘膜の萎縮の強い人達です。

さらに、血液中のヘリコバクターピロリ抗体が陽性か陰性で組み合わせると、
A群:ペプシノゲン(-)でピロリ菌も(-)
B群:ペプシノゲン(-)でピロリ菌は(+)
C群:ペプシノゲン(+)でピロリ菌も(+)
D群:ペプシノゲン(+)でピロリ菌は(-)

の4つのグループに分けます。そうすると、A群からはほとんど胃がんが見つからないのに対して、C群やD群からは高頻度に胃がんが見つかることが分りました。最も頻度が高いD群では1年間に80人に1人の割合で胃がんが発生しています。B群はピロリ菌には感染したけれど、ほとんど胃炎が起こらなかった人達です。

ところで、D群のペプシノゲン(+)でピロリ(-)という場合を説明しましょう。ペプシノゲン(+)で胃の萎縮がどんどん進むと、胃粘膜が腸粘膜化します(腸上皮化生)。腸上皮ではピロリ菌は生きていけないので、自然にピロリ菌感染が消えてしまいます。その結果、ペプシノゲン(+)でピロリ菌(-)という組み合わせが出てくるのです。(面白いですね。)

現在のように、ある年齢になったら、全員が胃透視を受けるのではなく、C群やD群の人達だけに積極的に胃カメラを受けてもらえば、効率的に胃がんが見つかるわけです。

A群の方は、胃カメラによる定期的検査は不要と考えても良いでしょう。
B群の方は3~4年毎に胃カメラを受ければ十分です。
C群やD群の方は、出来れば毎年胃カメラを受けた方が良いでしょう。胃がんが出来て、カメラで見て分かる大きさになるのに平均3年といわれています。少なくとも、3年毎には検査を受けることをお勧めします。

まず、自分がA,B,C,Dのどのグループなのかを知ることが必要です。そして、B群とC群の方は、積極的に除菌治療を受けることをお勧めします。

このABC検診、実は10年以上も前にその有用性が発表されていますが、なかなか普及しません。現在、一部の自治体ではこのABC検診を採用し、成果を出しています。

*このブログは2012年に書いたものを一部訂正・加筆したものです。

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ヘリコバクターピロリシリーズ(11)感染ルート

木曜日, 7 月 9th, 2015

冷たくて気持ちよさそう!胃潰瘍や胃がんの原因であるヘリコバクターピロリ感染は幼少期に母親あるいは父親からの経口感染が主な感染ルートといわれています。

5歳頃までは胃酸が十分出ていないため、その時期にピロリ菌を飲み込むと、そのまま胃に定着してしまいます。「離乳食を親が噛んで与える」ことがピロリ菌感染の大きな要因なのです

親から子供以外の感染ルートも指摘されています。「兄弟数が多く、年齢が接近した兄弟」に感染率が高いことと、長男よりも次男、三男の方が感染率が高いことから、年長児から年少児に感染する可能性も考えられています。

ピロリ菌の特異な生体も感染に影響しているようです。ピロリ菌は環境が悪くなると、その形を「球状菌」という守りの態勢に変化させます。球状菌は便と共に排出されますので、球状菌に汚染された水(井戸水や湧水)を飲むことで感染しうるわけです。小さなお子さんに井戸水や湧水は危険ですので、飲ませないようにしてください。

そのほか、まれなケースですが、ペットからの感染も指摘されています。

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ヘリコバクターピロリシリーズ(10)  新薬「タケキャブ」

木曜日, 7 月 2nd, 2015

電子顕微鏡で見たピロリ菌!除菌治療は1種類のタプロトンポンプインヒビター(PPI)と2種類の抗生物質を1日2回、1週間内服します。

従来のPPIよりもさらに強力な酸分泌抑制機能を持った薬「タケキャブ」が新発売されました。速効性、確実性、胃酸分泌抑制のいずれの点において、これまでのPPIよりも優れています。このタケキャブは、ヘリコバクターピロリ菌の除菌治療にも保険収載されました。タケキャブを用いた1次除菌の成功率は90%以上であり、従来の75%を大幅に上回ります。
当院では、1次除菌、2次除菌ともにタケキャブを採用しています。その結果、より成功率の高い除菌治療が提供できると思います。

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平成26年の診療報告から(1)  除菌療法

日曜日, 1 月 25th, 2015

ヘリコバクターピロリ感染症   除菌に成功した方が204名います。

ヘリコバクターピロリ菌に感染している場合、まず1次除菌をおこないます。1次除菌で菌が消えなかった場合は2次除菌をおこないます。
1次除菌で菌が消えた方が159名います。
2次除菌で菌が消えた方が45名います。
*2名の方が2次除菌でも菌が消えませんでした。

憎きピロリ菌!50歳までに除菌すれば、胃癌になるリスクが90%回避出来ると考えられています。当院で50歳以下で除菌出来た方が59名おられました。このうち、7名の方は、30才以下です。30歳までに除菌出来れば、99%胃癌のリスクが回避出来ると考えられていますので、一度もピロリ感染していない方とほぼ同じ条件になると考えられます。

胃がんの予防という意味においては、除菌は、胃の粘膜が萎縮する前におこなう方が有効です。あるいは、萎縮の早い段階であれば、除菌によって萎縮は回復していきます。この様に、若いうちに除菌することは、とても意味のあることなのです。

一方、高齢な方の除菌による胃癌予防の有用性も証明されており、70歳代で50%程度のリスクが回避出来ると考えられています。当院で70歳以上の除菌成功者は34名いらっしゃいました。高齢者の方も、比較的安全に除菌出来たと思います。

残念ながら、2次除菌でも除菌出来なかった方が2名おられました。当院では、2次除菌不成功の方に3次除菌をお勧めしています。現在、3次除菌の判定を待っている方が数名いらっしゃいます。

また、ペニシリンアレルギーの除菌も始めました。3次除菌と同様に、保険診療の対象外ですが、色々な方に除菌を受けて頂きたいために、積極的に取り組んでいます。

なお、除菌の判定を自由診療でおこなう場合は、尿素呼気試験の他に、比較的安価な便中のピロリ菌抗原も可能です。

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ヘリコバクターピロリシリーズ(9)  ペニシリンアレルギー用の除菌療法

月曜日, 12 月 8th, 2014

おなじみのピロリ菌です。ヘリコバクターピロリ菌の除菌には、1次除菌、2次除菌ともにアモキシリンというペニシリン系の抗生物質が入っています。ですから、ペニシリンアレルギーの方は、除菌治療を受けることが出来ませんでした。ペニシリンアレルギーの方を対象にした除菌をはじめました

2次除菌に用いるメトロニダゾール(フラジール)と、3次除菌に用いるシタフロキサシン(グレースビット)にPPI(パリエット)を併用する「ペニシリンを使わない除菌治療」です。
この除菌治療の成功率は、ほぼ100%と報告されていますので、大いに期待が持てます。なお、この除菌治療は『保険適応外』です(自由診療)。また、別途に、薬剤購入も全額自己負担となります。予め、ご了承下さい。

① 除菌の内容
パリエット(10mg)(胃薬)         2回/日
フラジール(250mg)(抗生物質)    2回/日
グレースビット(100mg)(抗生物質)  2回/日

② 投与期間 7日間

③ 成功率 ほぼ100%

④ 除菌の判定 尿素呼気試験又は便中のピロリ菌抗原検査が望ましい。

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ヘリコバクターピロリ シリーズ(8)  学校健診始まる

水曜日, 10 月 1st, 2014

元気な中学生達!30歳までに除菌すれば99.9%50歳までに除菌すれば90%60~70歳で除菌すれば、50%程度、胃癌のリスクが下がるといわれています。除菌を若いうちに済ませた方が、胃癌の予防効果は大きいいのです。
先日、インターネットで、兵庫県篠山市の中学校でヘリコバクターピロリ感染の健診(尿検査)が始まるとのニュースを見つけました。

健診の対象が中学生であることから痛くない検査が望まれます。また、副鼻腔炎や気管支炎等で抗生物質を飲んでいる生徒が常に何人かは存在する可能性があるので、薬剤の影響を受けない検査でなければいけません。さらに、対象が大人数なので、コストのかからない方法となると、尿検査(抗体測定)が妥当と考えられます。

もし、ヘリコバクターピロリ感染を指摘された場合は除菌治療を受けるべきでしょう。除菌の薬は体重が40kg以上あれば、大人と同じ量で大丈夫です。ただし、ペニシリンアレルギーの有無について十分な聞き取りが必要です。なお、お子さんは、抗菌剤による下痢が起こりやすいため、ビオフェルミンRを併用する方が良いです。
現在の保険診療では、内視鏡検査を受けないと、除菌治療が受けられません。ですから、自由診療での治療が多くなることが予想されます。その辺りの事情を周知徹底させておくことが必要と思われます。

ピロリ菌陽性と指摘された生徒が、いじめの対象にならないか、少し心配です。感染は乳幼児期に起こったもので、生徒同士では感染しないことを、学校全体で十分理解しておくことが必要です。

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