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中野胃腸クリニックBLOG » 院長「医療に関する話」

Archive for the ‘院長「医療に関する話」’ Category

医療の話  急性肝炎→肝不全→肝移植術→生還

日曜日, 8 月 20th, 2017

移植術中。
【30代の男性】
1週間以上続く強度の食欲低下吐き気を訴えて来院されました。嘔吐や下痢は無く、腹痛もありません。発熱もありません。通常の胃腸炎らしくないのです。しかし、症状は深刻な様子でした。急性肝炎を疑い、血液検査をおこなった結果、著しい肝機能障害が確認されました。直ちに大学病院に入院となりましたが、入院後も肝不全状態は改善せず、移植術施行病院へ転院となりました。タイミング良くマッチングされた肝臓が提供され、移植術がおこなわれました。術後経過も良く、1ヶ月後には退院されました。なお、肝炎の原因は特定できなかったようです。

今回、私は最初に一度診察しただけで、よもや肝移植術になろうとは想像だにしていませんでした。しかし、この人命救助のホンの一端を担えたことで、とても充実した気持ちになりました。

本邦では、2010年臓器移植法が改正され、それまでは本人(脳死)の生前の書面による意思表示が必要であったものが、本人の意思が不明な場合には、家族の承諾で臓器が提供できるようになり、移植術が飛躍的に増えました。肝不全(あるいは劇症肝炎)からの肝移植術も年間40例ほど施行されています。

臓器移植法が改正される前に、肝臓移植になった患者さんを担当したことがありましたが、肝臓の提供者を血縁者からつのり、保険適応の面でも十分整備されていなかったため、資金集めに、患者さんのご家族の苦労は大変なものでした。今回は、直ぐに臓器提供があり、医療費もすべて保険診療でカバー出来ています。現在の日本の移植医療は良く整備されています。

ヘリコバクターピロリシリーズ(15) 3次除菌とペニシリンを使わない除菌ー8年間のまとめ

木曜日, 8 月 10th, 2017

ピロリ菌見つけました!胃潰瘍や胃がんの大きな要因であるピロリ菌感染ですが、除菌治療によってそれらを予防することが可能です。1次除菌の成功率は90%程度です。もし、不成功であれば、2次除菌を受けます。2次除菌の成功率も90%程度なので、99%の方が除菌することが出来ます

【3次除菌】
なかには、1次除菌も2次除菌も不成功だった方もいらっしゃいます。当院ではこの方々に3次除菌をお勧めしています。3次除菌は保険診療ではないので(全額自費)受ける方は少ないです。開院以来8年間で3次除菌を受けた方は、6名でした。うち2名は未だ判定にみえていません。残りの4名は全員除菌出来ています。皆さん、粘り強く、3次除菌まで付き合ってくださいました。その忍耐力に敬意を表します。

【ペニシリンアレルギー】
1次除菌も2次除菌も抗生物質のペニシリンが入っています。ですから、ペニシリンにアレルギーのある方は使えません。そこで、当院ではペニシリンを用いない除菌療法も提供しています(保険外診療ですので、全額自費です)。開院以来8年間でこの除菌治療を受けた方は、6名でした。そして、6名全員が除菌に成功しています。諦めないで良かったですね。

*先日、開院8周年を迎えました。8年間の診療の証しになるようなものを考えていました。そこで、除菌治療のことを調べてみました。3次除菌を受けた方の100倍以上の方が、1次除菌か2次除菌を受けているわけです。そう考えると、この『3次除菌6名』は私にとって大事な数字です。

コールドポリペクトミー

日曜日, 7 月 30th, 2017

ポリペクトミー(ポリープ切除術)は、スネアでポリープを把持した後に、通電して組織を熱変性で壊死させて切除するものです。
一方、近年行われるようになったコールドポリペクトミーは通電しません。通常のポリペクトミーが熱が発生するのに対して、熱が発生しないので、「コールド」ポリペクトミーと命名されました。
また、コールドポリペクトミーはがんを対象にしていません。良性の腺腫のうちに切除して、がんの芽を摘み取ってしまうのです。

太い血管は粘膜下層にはありますが、粘膜内には存在しません。コールドポリペクトミーは粘膜内で切除するために、粘膜下層で切除する従来のポリペクトミーよりも「後出血」のリスクが低いのです。

【写真上段】コールドポリペクトミーによって、完全にポリープが切除された写真です。中央に索状物が残っていますが、取り残しではありません。
【写真下段】同じくコールドポリペクトミーです。白いところがポリープです。切除後に強い水圧をかけることによって、切除断面をむくませています。こうすることによって、術後の止血効果が得られます。

*センナ(下剤)を長期に内服すると、大腸粘膜に色素沈着をきたしますが、心配はありません。

5mm大のポリープ切除直後

白いところがポリープです。
水をかけてむくませています。

フィッツヒュー・カーティス 症候群

木曜日, 7 月 20th, 2017

お腹が痛い!「症候群」は、その病態を最初に発見した人の名前を付けることが一般的です。
フィッツヒュー医師とカーティス医師がそれぞれ、女性の性感染症による腹痛を報告したのが最初で、この名前が付きました。
現在では、クラミジア(等)感染症による骨盤周囲炎と同意語になっています。

【症例】20代女性
強い右上腹痛のために来院されました。嘔吐、下痢はありません。発熱もありません。診察では、腸雑音に異常は無かったのですが、打診(中指をもう一方の中指でトントンと叩くやつです)すると、強く痛みを訴えられました。痛みは広範囲で、部位を特定できませんでした。触診上、お腹は柔らかく、腹膜炎の可能性はなさそうでした。血液検査では、白血球数は正常で、白血球の成分も正常でした。エコー検査では胆石は認めませんでした。

ここまでで一旦頭の中を整理してみました。
① 腹痛ではあるけれど、胃腸症状は無い。こういった場合はむしろ要注意である。虫垂炎、尿管結石、お腹の血管の閉塞、などいろいろ考えておかなければならない。白血球が増えていないので、虫垂炎ではなさそうだ。血尿の訴えはなく、尿管結石も考えにくい。不整脈がないことから血栓が詰まる可能性は低そうだ。
② 強い痛みを訴えている割には、診察上、異常所見は認めない。
③ 女性の腹痛は子宮や卵巣が原因の可能性もある。

そこで、性感染症の可能性をご本人に説明し、クラミジア抗体を測定し、クラミジアに効果のある抗菌剤を処方することを了承して頂きました。
フィッツヒューカーティス症候群は、その激しい痛みのために、緊急手術になることが時々あります。この方も、非常に強い痛みでしたが、腹膜炎の所見はなく、落ち着いて診察が出来ました。なお、クラミジアに感染しても白血球は増えないことが多いのです。

後日、来院された時は、腹痛はおさまっていました。クラミジア抗体が上昇していることを説明し、産婦人科医にその後の治療をお願いしました。

【余談】三十数年前、医師国家試験に備えて、数多くの症候群を暗記しました。フィッツヒューカーティス症候群は無かったですね。

慢性の咳 その咳は何時頃に出ますか?

金曜日, 6 月 30th, 2017

自分自身が辛い上に、周囲に気を遣う慢性の咳。慢性の咳に咳き込むとツライものです。ついてまとめてみました。

【時間帯による特徴】
昼間:逆流性食道炎 会話の最中にもよく咳が出ます。
夜 寝入りばな:風邪の治りかけ
夜間・早朝:咳喘息
起床時:慢性閉塞性肺疾患(肺気腫、COPD) 夜間に溜まった痰が排出されるためです。
咳が出やすい時間帯によって、ある程度診断がつきますので、皆さんも参考になさってください。

【急性/慢性】
急性:3週間以内
慢性:2か月以上
*3週間~2か月:遷延性といいます。
感染症による咳は、結核を除けばほとんどが2か月以内です。「百日咳」は感染症ですが、100日(2か月以上)も咳が続くわけです。

【湿性/乾性】
痰が絡んだ咳が湿性で、絡まなければ乾性です。感染症による咳は湿性のことが多いです。

大腸smがん 1,000μmと800μm

土曜日, 6 月 10th, 2017

初期の大腸がんは内視鏡治療(ポリープ切除)で完治します。一方、進行した大腸がんは外科的手術が必要です。内視鏡治療か手術か、その境目になるのが「smがん」です。smとは「粘膜下層」という意味です。先日、ポリープ切除をおこなった患者さんがsmがんでした。
大腸粘膜の層構造です。

大腸の壁は、内側から、①粘膜(粘膜固有層) ②粘膜下層 ③筋層(固有筋層) ④しょう膜下層 ⑤しょう膜 の5層構造になっています。①と②の境には「粘膜筋板」といわれる薄い筋肉の層があります。【右図参照】

がんの深さが①にとどまっていれば内視鏡治療で完治します。絶対にリンパ節転移はありません。
がんの深さが③④⑤であれば、外科手術が必要です。

②(粘膜下層)にがんが浸潤していた場合、粘膜筋板から1,000μm(=1mm)までの深さであれば、内視鏡治療で良いとされています。1,000μm以上あければリンパ節転移の可能性が10%程度出てくるために手術をした方が安全です。

先日、大腸ポリープ切除をおこなった患者さんの結果がsmがんでした。粘膜筋板(粘膜と粘膜下層の境にある薄い筋肉の層)からのがんの最深部までの距離は800μmでした。わずか、200μmの差でポリープ切除だけでOKという結果でした。しかし、それ程、人の心は単純ではありません。

・追加切除術を受けなかったばっかりに、数年後に、再発したらどうしよう。

・追加切除する必要が無いのに、手術を受けて、やっぱりリンパ節転移が1つも無かったら、その結果を素直に喜べるだろうか。手術しなければ良かったと後悔しないだろうか。

どちらを選択しても、不安と後悔を完全に消し去ることは出来そうにありません。

治療の選択に悩むということは、それだけ選択肢があるわけで、ある意味幸せなことです。治療方が1つしかない、あるいは、治療方が無い場合だってあるのです。

この患者さんは手術をしないで、経過をみていくことを決心されました。

腹部レントゲン写真で胃拡張が見えました(その2)。

土曜日, 5 月 20th, 2017

息をとめて~。カシャッ!

以前、腹部レントゲン写真から胃拡張を診断したエピソードを紹介しました。今回も、また、同じ経験をしました。

70代の男性の方で、食事が摂れないから点滴を希望されて来院されました。腹部レントゲン写真を撮ってみると、腸のガスがお腹の真中から下に向かって凸状に弧を描くように圧排されていたのです。通常の腹部レントゲン写真では、胃は穹窿部のガス像が写る程度でほとんど存在感がありません。しかし、この写真は、「胃が張っている」という状況を感じました。

救急病院で腹部CT検査を受けて頂いたところ、胃の出口にがんが出来ていて、食物が胃から十二指腸へ進みにくくなっていたのです。そのために、胃がパンパンに張っていたのでした。
前回の経験が2回目だったので、今回が3回目です。1回目と2回目の間は10年以上開いていたのに、2回目と3回目の間は数か月です。そこも不思議でした。

中性脂肪(脂肪酸)で知っておきたいこと。「α-リノレン酸」

日曜日, 4 月 30th, 2017

しそってスゴイ!何となく悪者のイメージのある中性脂肪。確かに、ラード(豚油)やバターは沢山食べれば、血中の中性脂肪やコレステロールが上がります。ラードやバターが飽和脂肪酸であるのに対し、不飽和脂肪酸は体に良い脂肪酸です。今回は、不飽和脂肪酸についてお話します。

体内で合成できない脂肪酸(必須脂肪酸)、すなわち食物からしか摂れない脂肪酸は、リノール酸(ω6)とアラキドン酸(ω6)とα-リノレン酸(ω3)の3つです。(ω:オメガ)

ω9(オリーブ油、キャノーラ油)、ω6(ごま油、くるみ)、ω3(えごま油、亜麻仁(あまに)油、DHA、EPA)と、数字が少ない程、体に良いものと考えて良いでしょう。

そうすると、必須脂肪酸でω3でもあるα-リノレン酸は是非とも意識的に摂取しておきたいですよね。α-リノレン酸はえごま油、亜麻仁(あまに)油の他にしそもあります

昔の人は偉いですね。梅干しを作る時にしそを入れますものね。ちなみに、α-リノレン酸は、熱に弱いので、調理方法に気を付けてください。また、取り過ぎるとかえって体に悪いので、1日小さじ1杯程度で十分です。

【まとめ】
① 体内で合成できない脂肪酸がある(必須脂肪酸)。
② ω3系は、とっても体に良い脂肪酸である。

超音波(エコー)検査で胃拡張が見えました。

木曜日, 4 月 20th, 2017

魚の群れを見つけたぞ!食欲不振で来院された70代の男性の方です。
3日間、ほとんど何も食べることが出来ないので、点滴を希望されて来院されました。お腹を打診すると、胃の辺りの音がなんか変です。超音波(エコー)検査で観察してみると、胃液をパンパンに貯めた胃が観察されました。通常、超音波(エコー)検査では、胃や腸のなどの管腔臓器は観察できません。エコーは空気を通さないからです。もともと、超音波(エコー)検査は、魚群探知機を人間の体に応用したものらしいです。ですから、水の中は良く見えるのです。普段見えないものが見えること自体が異常です。救急病院にお願いしてその日のうちに腹部CT検査を受けて頂き、十二指腸に狭窄があることが確認されました(狭窄の原因は、すい臓の腫瘤でした)。

以前、腹部レントゲン写真で胃拡張を診断したことをブログで紹介しましたが、今回は、超音波(エコー)検査で診断することが出来ました。

初診でがんが見つかりました。

水曜日, 1 月 25th, 2017

クリニックに行くのは良い気がしません。最近、初診でがんが見つかった方が2人いらっしゃいました。

【60代女性】すい臓がん
食欲低下、心窩部痛を主訴に来院されました。体重減少は無いとのこと。診察すると、胃の辺りに硬くて可動性の無いしこりを触れます。「このしこり、いつからありましたか?」と尋ねると、「だいぶ前から気にはなっていたんですよ。」との返事でした。
エコー検査でしこりはすい頭部の4cm大の腫瘤として映し出されました。大学病院に精査治療をお願いしました。

【60代女性】腎臓がん
心窩部痛を主訴に来院されました。2年前に胃カメラと大腸カメラを受けて異常がないと診断されています。ここ4、5年の間は、介護のために自分の健康管理に気が回らなかったとのことです。診察上は特に異常は無かったのですが、痛みの深刻さからCT検査をお勧めしました。総合病院で検査を受けて頂き、5cmの腎臓がんが見つかりました。大学病院に精査治療をお願いしました。

お二人の共通点は60代というところです。60才位からがんのリスクが高くなります。「薬を飲んで、しばらく、様子を見ましょう。」と帰していたら、さらに、がんの発見は遅れてしまうところでした。しかし、すべての人にCT検査というわけにはいきません。その見極めが難しいですね。


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