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中野胃腸クリニックBLOG » 消化器病と電解質異常

Archive for the ‘消化器病と電解質異常’ Category

消化器病と電解質異常(9) 

水曜日, 2 月 1st, 2012

「アミノレバンと高カリウム血症」

肝臓が機能不全状態に陥った時、精神状態や行動に異常を認めることがあり、「肝性脳症」といいます。
その治療のひとつに特殊アミノ酸製剤(商品名:アミノレバン)の点滴があります。
肝性脳症では肝臓に有用な分岐鎖アミノ酸の比率が低下しているため、分岐鎖アミノ酸を多く含んだアミノレバンを点滴するわけです。
その結果、脳症が速やかに改善されます。

毎日のように「肝性脳症」を繰り返す患者さんがおられました。
その都度、アミノレバンの点滴をおこなっていました。
速効性があるため、つい連用してしまっていたのです。2週間ほど経過した時、高カリウム血症を来たしました。

最初、なぜ高カリウム血症になったのか分りませんでした。
酸-アルカリ平衡を調べてみると、クロール(Cl-)が増え、重炭酸(HCO3-)が減少していました(HCO3- とCl-の和は一定なのです)。
HCO3-が減少すると、代謝性アシドーシスになります。
アシドーシスを補正しようと、血中のH+は細胞内に移動しますが、代わりに、K+が細胞内から血中に移動するために、高カリウム血症になったのです。

アミノレバンの成分表を確認してみると、1Lあたり、Na 14に対して、Cl 94とClの含有量が多いことに初めて気付きました。

安易にアミノレバンの点滴を繰り返したことを反省し、漫然と使うことは決してしないようにしました。

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消化器病と電解質異常(8)

月曜日, 1 月 9th, 2012

がんに伴う高カルシウム血症

今回もカルシウム(Ca)についてお話しします。
血中のCa濃度は副甲状腺ホルモン(PTH)によって調節されています。副甲状腺は、甲状腺の裏側にある4つの小さな粒状の臓器で総重量はわずか0.1gしかありません。

がん患者さんの10~15%に高Ca血症がみられます。その多くは、がんからPTH関連蛋白(PTH-rP)が産生されるために、血中のCa濃度が上がります。がんが骨に転移することで高Ca血症を来す場合もあります。高Ca血症を来しやすいがんは、乳がん、肺がん、腎臓がんなどです。

およそ20年前にすい臓がんがPTH-rPを産生し高Ca血症を来した患者さんを受け持ったことがあります。当時、九州ではPTH-rPを測定出来なかったため、東京の検査会社に測定をお願いした記憶があります。
血中Ca濃度が15mg/dlまで上昇したとき、昏睡状態に陥りました。PTH-rPを下げることは出来ないので、血中のCaを骨にシフトさせる「ビスホスホネート」を投与することにしました。患者さんの鼻から胃までチューブを留置し、ビスホスホネートの錠剤をすり潰し、水に溶いて流し込みました。そうしますと、速やかに血中Ca濃度は下がっていきました。それに伴って、意識も改善し、翌日にはまた話が出来るようになりました。

当時の医学書には高Ca血症の治療としては、大量の点滴に利尿剤の注射、ステロイドやカルシトニンの投与といったものしかありませんでした。ビスホスホネートが血中Ca濃度を下げることは判っていましたが、当時は骨粗鬆症の治療薬でしかなかったビスホスホネートの投与は「イチかバチか」の賭けでもありました。治療が上手くいった時は本当に嬉しかったです。ちなみに、現在では、数種類のビスホスホネートの注射薬が開発され、高Ca血症は点滴で簡単に治せる時代になりました。

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消化器病と電解質異常(7)

火曜日, 1 月 3rd, 2012

多発性内分泌腫瘍1型症候群

今回もカルシウム(Ca)についてお話しします。
血中のCa濃度は副甲状腺ホルモン(PTH)によって調節されています。副甲状腺は、甲状腺の裏側にある4つの小さな粒状の臓器で総重量はわずか0.1gしかありません。

多発性内分泌腫瘍Ⅰ型症候群(MEN-1)は副甲状腺、すい臓、脳下垂体の3つの臓器に腫瘍が出来る非常に珍しい病気です。

副甲状腺腺腫は高Ca血症を来します。高Ca血症は腎臓にCa結石を作ります。
すい臓腫瘍はガストリンを分泌するガストリノーマが多く報告されています。ガストリンは胃酸分泌を刺激するホルモンですので、ガストリノーマは難治性の胃潰瘍を引き起こします。そのほかにも、VIP(下痢)やインスリン(低血糖)を分泌する腫瘍もあります。
下垂体腫瘍は末端肥大症やプロラクチン分泌をきたします。

日頃から胃潰瘍と尿管結石がある場合は、MEN-1の可能性を考えて血中のCa濃度をチェックするように気をつけていますが、まだ一度もCaが高かったことがありません。

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消化器病と電解質異常(6)

月曜日, 12 月 19th, 2011

急性すい炎と低カルシウム血症

今回よりしばらくカルシウム(Ca)についてお話しします。
まずCaについて説明します。人の体には約1kgのCaを保有していますが、その99%は骨に存在します。血液中のCaは0.1%しかありませんが、生きていくために重要な仕事をしています。Ca濃度は8.5~10.3mg/dlの非常に狭い範囲に調整されています。
この値よりも高い場合が高Ca血症、低い場合が低Ca血症です。

重症の急性膵炎では低Ca血症を認めることがあります。すい臓が傷害されると、血中に逸脱した大量のリパーゼにより遊離脂肪酸がつくられます。この遊離脂肪酸はCaと結合しCaが析出し、その結果、血中のCa濃度は低下します。

急性膵炎の重症度を判定する10項目程の中に、「血中Ca濃度」もしっかりと選択されています。Ca値の低い急性膵炎は重症と判断して治療を始めます。

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消化器病と電解質異常(5) 

金曜日, 12 月 9th, 2011

大腸ポリープと低カリウム血症

大腸ポリープのなかに「絨毛(じゅうもう)腺腫」と名付けられたポリープがあります。「絨毛」とはヴィロードのことです。通常のポリープより表面が赤く複雑な模様をしており、柔らかい感じです。

絨毛腺腫は、まれにカリウムを含む粘液をドンドン排出するために、低カリウム血症をきたすことがあります。ポリープが原因で低カリウム血症になるなんて、ちょっと想像出来ないと思いませんか。

絨毛腺腫を見つけた時は、必ず、血清カリウム値をチェックしていますが、残念ながら、一度も遭遇したことがありません。

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消化器病と電解質異常(4)

水曜日, 11 月 30th, 2011

スポーツドリンクの49という数字

「人間の汗に一番近い飲み物」というキャッチコピーのスポーツドリンク。商品名の横に「49」という数字が書いてあります。あの数字、気になりませんか?

人の汗のナトリウム(Na)の濃度は大体50 mmol/Lです。
そうすると、例の「49」は「ケッコウ良い線いっているな。」と思いがちですが、小さな字で「mg/100ml」と単位が書いてあります。

mmolとmgは全く別物です!

ナトリウムイオン(原子量23)は1 mmol/L=23 mg/L=2.3mg/100mlです。
49 mg/100mlは約21mmol/Lに相当します。
ですから、スポーツドリンクは汗(50 mmol/L)の半分以下の濃度のナトリウムしか含まれていません。
スポーツドリンクだけでナトリウムを補充するのは難しいと思います。

下痢をした時は、梅干し(もしくは塩昆布)と温かいお茶で塩分と水分の補給をしてください。第一、経済的でしょう?

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消化器病と電解質異常(3)

土曜日, 11 月 26th, 2011

嘔吐による低クロール性代謝性アルカローシス

腸閉塞など何らかの通過障害をきたし、そのために、数日にわたって嘔吐し続けた場合、大量の胃酸を喪失することになります。胃酸の主な成分は水素イオン(H+)とクロールイオン(Cl-)ですので、嘔吐により大量のH+とCl-が体内から失われます。

体内の酸アルカリ平衡は陽イオンであるナトリウムイオン(Na+)と陰イオンであるCl-と重炭酸イオン(HCO3-)の和がほぼ同じになることで成り立っています。ですから、Cl-が減少しますと、HCO3-が代償しようと増えます。体内のpHはHCO3-に比例し、CO2に反比例します。HCO3-が増えれば、pHが上がり(アルカリ性=アルカローシス)、CO2が増えれば、pHは下がります(酸性=アシドーシス)。HCO3-が増えた状態を代謝性アルカローシスと言います。

代謝性アルカローシスが何か体に悪影響を来すかと言うと、ほとんど何も問題になりません。強いて言えば、アルカローシスを補正しようと細胞内のH+が細胞外に出てくる際に交換要員としてカリウムイオン(K+)が細胞内に移動するため、低カリウム血症になる程度です。

低クロール性代謝性アルカローシスの治療はCl-を体内に補充します。塩酸(HCl)を点滴するわけにはいかないので、塩化ナトリウム(NaCl)を点滴します。

普段、主役になることがほとんどないCl-のお話でした。

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消化器病と電解質異常(2) 

水曜日, 11 月 16th, 2011

アルコール性肝障害と低ナトリウム血症と中心性橋髄鞘融解症

アルコールによる肝臓病の患者さんが意識障害で転院されて来た時のことです。

沖縄の塩意識障害の原因が、肝臓の状態からは説明出来ませんでした。ふと、血中ナトリウム(Na)濃度が130 mEq/L(正常値:135~146)と少し低い値であることに気付きました。前の病院に問い合わせると、数日前の血中Naは110 とさらに低い値でした。つまり、この数日で急速に130まで補正されたということです。

肝疾患はむくみやすい病気ですので、低Na血症になりがちです。加えて飲酒ばかりしていて十分な栄養と塩分(NaCl)が摂れていなかったことで強い低Na血症を引き起こしたと思います。

低Na血症を急速に補正すると、不可逆的な脳幹の異常を来たすことがあります(中心性橋髄鞘融解症 Central pontine myelinolysis :CPM)。CPMは飲酒する方に多く認められますので、この患者さんもCPMが発症し意識障害が起こったと考えられました。

低Na血症は意識障害を来たしますし、その補正の方法を誤ると意識は戻らなくなってしまうことがあるのです。

ちなみに、低Na血症の治療は120 mEq/Lまでは急速に補正し、以降、2~3日かけて5 mEq/L程度ずつゆっくり上げていけばCPMは避けられます。

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消化器病と電解質異常(1)

火曜日, 10 月 18th, 2011

グリチルリチンと低カリウム血症

血液は赤血球などの血球成分と蛋白質などの血漿成分からなります。
血漿の中には電解質と呼ばれるイオンが存在します。その代表的なものがナトリウム(Na)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)などです。
このシリーズでは、一見無関係にみえる電解質と消化器病との関わりについてお話します。

第1回目は「グリチルリチンと低カリウム血症」です。

肝臓病の治療薬である「小柴故湯(しょうさいことう)」や胃炎の治療に用いる「六君子湯(りっくんしとう)」など、消化器病と漢方薬は深いつながりがあります。ところで、ほとんどの漢方薬には甘草(カンゾウ)が含まれています。甘草の有効成分であるグリチルリチンは、ヒポクラテスが活躍した紀元前の時代から、抗潰瘍薬や抗アレルギー薬として用いられてきました。グリチルリチンは体内では活性型のグリチルリチン酸となり鉱質コルチコイド様の作用をしまします。すなわち、体内に水やNaが貯留し、体重の増加と血圧の上昇をきたします。一方、Kの排泄が増すために低K血症を引き起こします。低K血症は周期性四肢まひ、脱力感、筋力低下、ミオパチーなどの症状を来し、尿の濃縮力を低下させます。

昭和の時代、「森下の仁丹」が人気でしたが、仁丹にもこのグリチルリチンが入っており、仁丹の取り過ぎで低K血症になった報告もあります。

なお、Kは野菜や果物(りんごやバナナ)に沢山含まれています。

【おまけ】20年以上も前のことです。急に立てなくなり緊急入院した患者さんを受け持ちました。
詳しく調べていくうちに漢方薬による低K血症が原因とわかりました。
グリチルリチンによる低K血症に興味を持ち、このような症例をまとめて報告しました(1991年 腎と透析)。
以降、電解質異常に興味を持ち続けています。

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